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開発&コンサルティング

序文ー業務効率化、業務改革の考え方と進め方の概要

日本の企業では、昔から、業務効率化や業務改革はITを使わないで、創意工夫によって行っていました。なぜなら、日本の企業では創意工夫をすること、すなわち頭を使って改善(KAIZEN)をすることが得意だったからです。また、ITが今ほど発達していなかったからです。

当時は、日本の企業では業務改革は中期経営計画を達成することを目的に行う企業が多かったです。なぜなら、高度経済成長が終わり、経営戦略が重視されるようになったために、多くの企業では経営戦略の実行計画である中期経営計画を達成することが最重要課題だったからです。また、業務改革、すなわち業務を根本から変えるには、業務発生の源流である中期経営計画から見直しする必要があったからです。

本来、企業は経営環境が変化すると、変化に適応するために、経営戦略を策定し、事業領域を見直し、中期経営計画を立案して実施します。しかし、多くの企業では中期経営計画が計画通り実施できなかったのです。

その原因のほとんどは、経営の骨組みが中期経営計画を実施できるようになっていなかったためです。そこで、業務改革活動によって経営の骨組みの再構築を行ったのです。

多くの企業では新しい経営環境に適応するために、中期経営計画として、既存業務を強化するだけでなく、新製品や新サービスの開発、あるいは新規事業開発などを計画します。この中期経営計画を実施するためには、人と時間が新たに必要となりますが、それを業務効率化活動によって社内から生み出すのです。

よって、通常、業務効率化活動と業務改革活動とを並行して実施します。あるいは、業務改革活動を行うために、業務効率化活動を行うのです。つまり、業務効率化活動によって生み出した人と時間を、強化業務、新製品や新サービスの開発業務、新規事業開発業務などに再配分するのです。ほとんどの企業には25%以上のムダな業務があるのですから、このようにすれば中期経営計画が確実に実施できるのです。

業務改革活動によって経営の骨組みの再構築を行いますが、それは、中期経営計画を達成するためだけではありません。今後、間違った意思決定をしないように、また、二度とムダな業務を指示・命令しないように、さらに生産性を向上させ、イノベーションを実施できるようにするためでもあります。

このために、経営戦略、事業領域、中期経営計画、経営組織、人事制度などを根本から見直し、再構築するのです。これが、日本の企業が昔から行っている業務改革活動です。

さて、最近では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が流行しています。しかし、その目的を理解していない人が多いようです。

情報処理推進機構(IPA)におけるDXの目的は、「新たな付加価値を生み出せるよう従来のビスネスや組織を変革すること」です。経済産業省の「DX推進ガイドライン」におけるDXの目的は、「製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」です。つまり、単なる業務のIT化ではありません。

ところが、多くの企業では、単に、ノンコア業務(核ではない周辺業務)をIT化しているだけです。DXの目的を果たすためには、本来の業務効率化、及び業務改革を実施することが先決です。その具体的な方法は本稿に書いてあります。IT化は、業務効率化、及び業務改革が終了した後に行えば良いのです。

また、2021年1月1日の日本経済新聞に『やる気刺激「働きがい改革」』『大手もジョブ型雇用導入』と題する記事が掲載されました。

2021年1月1日の日本経済新聞から引用

ジョブ型雇用とは、「あらかじめ職務内容や職責を限定した職務定義書(ジョブディスクリプション)を策定し成果に基づき評価する仕組み。欧米では一般的だ。日本では勤続年数に応じて昇給する「年功型」が多数派だが、成果に基づき評価されるジョブ型では年功概念は否定される」と日本経済新聞には書かれています。

このように、そもそも「働き方改革」ではなく、「働きがい改革」が必要なのです。なぜなら、年功型では若い人はもちろん働く意欲が湧かず、高い給料をもらっている年配者も、既にもらっているので働く意欲が湧かず、その結果、生産性が向上せず、また、イノベーションが実施できないからです。

と言うのも、イノベーションを実施するのは会社(集団)ではなく、社員(個人)だからです。このことに気づいた先進的な企業が、ようやく本気になって社員の「働きがい改革」を実施して生産性を向上させ、イノベーションを実施して欧米と戦う気になったのです。

しかし、単に、ジョブ型雇用(成果主義人事制度)に変えれば良いかというと、そうではありません。成果主義人事制度にも重大な欠点があるからです。その証拠に、バブル経済が崩壊した後に、一時的に多くの企業が成果主義人事制度に移行しましたが、その後、年功的人事制度に戻っているのです。ジョブ型雇用(成果主義人事制度)の重大な欠点を払しょくするためには、業務に対する考え方や価値観を根本から変える必要があるのです。

そして、すべての業務を見直して、経営計画に基づき各部門で業務計画を立案し、職位(個人)別に職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)を作成し、これをマニュアルとして職務を実施するのです。そうすれば、すべての従業員の職務が経営計画の実施につながります。よって、その都度、場当たり的に業務(職務)を指示・命令する必要はなくなります。したがって、ムダな業務がなくなります。

以上が日経新聞に掲載されていた「ジョブ型雇用」の導入による「働きがい改革」の趣旨です。日経新聞に掲載されていたことは、筆者がこれまで多くの一部上場企業や大企業、中堅企業などで、35年以上コンサルティングを行ってきたことです。本稿はその内容を具体的、かつ詳細に書いたものです。事例もたくさん掲載してあります。よって、各社で本稿を見ながら実施できるはずです。

さて、現在、世界中の企業が躍起になってイノベーションに取り組んでいますが、それは今後、企業が生き残るには、イノベーションしかないと結論づけたからです。(『経営戦略全史』三谷宏冶著 ディスカヴァー・トゥエンティワン社 参照)

ところが、社員(個人)の都合より会社(集団)の都合(決定)を優先する集団主義に基づく日本の企業では、イノベーションを実施することはできません。欧米の企業と同様に、個人の考え方や価値観を尊重する、個人主義に基づく戦闘集団に変える必要があります。

本稿を活用して、業務効率化、及び業務改革を実施し、今後、絶対にムダなIT投資を行ったり、ムダな業務を指示・命令したりしないでください。また、生産性を確実に向上させ、イノベーションを実施して、企業を成長・発展させてください。

業務効率化・業務改革活動
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