一般に、問題とはあるべき姿と現状との差を言います。つまり、
問題=あるべき姿-現状
です。ところが、あるべき姿の描き方も現状の捉え方も人により異なります。したがって、人により問題の捉え方が異なってしまいます。
たとえば、ある現象に対してAさんは問題だと言い、Bさんは問題ではないと言います。あるいは、誰もが問題だと認識しても、Cさんは重大な問題だと言い、Dさんはそれほど重大な問題ではないと言います。
これでは、たとえCさんが良い改善策を考えても人の納得が得られず実行されないことになってしまいます。要するに独りよがりになってしまうのです。また、これを無理やり実行させようとしてもダメです。実行する人が納得して率先して実行しようとしない限り解決(成功)はしません。
実は、この点を理解していない経営者・管理者が多いです。経営者・管理者が部下にこのように改善しろと言っても部下がそうしないのはこのためです。そこで、あるべき姿の描き方と現状の捉え方を多くの人が納得できる考え方・方法で行う必要があります。これが改善・改革・開発を成功させるポイントなのです。
現在、現状の捉え方に対する考え方・手法として最も優れているのは、世界中の生産現場で、すでに100年以上の歴史があるIE(インダストリアル・エンジニアリング:管理工学)です。生産現場で使われていると言っても生産現場だけに適用できる考え方・手法ではありません。企業のあらゆる場面で問題解決に適用できるのです。なぜなら、IEは物の動きや人の手足の動きを分析する手法だからです。よって、物が動いている所や人が手足を動かしている所ならどこでも適用できるのです。例えば、工場現場だけでなく、建設現場、卸売りや小売りの現場などです。
よって、現状の捉え方に対してはIEを活用することにより、多くの人の納得が得られます。ちなみに、IEの目的は付加価値を高めることです。そして、IEの基本的な考え方は付加価値を生まない作業はできるだけ排除・削減し、付加価値を生む作業はできるだけ短時間で行うように創意工夫(アイデア発想)し、又は、世界で最も良い方法(ワン・ベスト・ウエイ)を探索し、採用するという考え方です。
要するに企業の付加価値を高くするための考え方なのです。そして、この考え方を実施するための手法がいろいろとありますし、手法そのものを工夫することによって生産現場、建設現場、販売現場などだけでなく、デスクワークである業務の効率化、あるいは商品開発など企業のいろいろな問題解決にも適用できるのです。
なぜなら、企業活動というものは全て人が行っているからです。たとえ機械が行っていても機械を操作するのは人であり、機械を設計したり作ったりするのも人なので、結局、人の作業(手足の動き)を改善すればよいからです。
IEは物の動きや人の作業(手足の動き)を改善する考え方・手法ですから、どのような作業でも改善できるのです。したがって、現状の捉え方としてIEの考え方・手法を使えば誰にもわかりやすいということです。
一方、あるべき姿を描くための考え方・手法として最も優れているのはVE(バリュー・エンジニアリング:価値工学)です。VEは付加価値だけでなく、顧客価値、商品価値、業務価値、企業価値などいろいろな価値を高めるための考え方・手法なのです。これにより高価値となるあるべき姿を描こうとするのです。つまり、VEの目的は価値の向上です。このために、対象の目的と機能を徹底的に追求するのです。
そして、その目的と機能を果たすために最も適した方法を探索し、又は創意工夫(アイデア発想)することにより価値を高めるのです。
しかしながら、VE自体が多くの問題を含んでおり、残念ながら充分に活用されていないのが実情です。そこで、弊社ではVEそのものの改善・開発を進めながらコンサルティングを行ってきたわけです。
IEについては目に見える物の動きや人の手足の動きを明確にする技術、すなわち、現状の把握が中心の技術ですので人によって意見が異なることはないのです。しかし、VEについては目に見えない人の頭の中の考えを明確にする技術、すなわち、あるべき姿を描く技術なので、大きな効果が期待できるにもかかわらず、人によって意見が異なり、その内容が混乱しているのが実情なのです。
実際に、多くの一部上場企業でVEを導入しているのですが充分に活用されておりません。また、中堅・中小企業においてはVEはほとんど活用されておりません。そこで、弊社ではVE自体を見直し、また、VEを基に新しい改善・改革・開発技術を開発して今日までコンサルティングを行ってきたわけです。それがVVE(Valid VE:効果的なVE)です。VEを改善し、VEを基に開発したのがVVEなのです。
しかし、弊社だけではこの技術を普及促進させることが充分にできないため、この技術を公開することにしたわけです。そこで、VEを基に弊社が独自に開発したコンサルティング技術VVEについて解説いたします。
できるだけ多くの経営者、管理者、VEの専門家などに活用していただき企業の発展に役立てていただきたいと思います。
ただし、この技術をわかりやすく説明するために、ここでは製品のコスト削減を例に解説いたしますが、単にコスト削減技術だと誤解しないでいただきたいと思います。この技術はあるべき姿の描き方の技術であり、いろいろな価値を高める技術であり、いろいろな問題解決に役立つ技術なのです。
実際にいろいろな課題解決のためにこの技術を活用しておりますので、コスト削減・原価低減だけでなく、商品開発・製品開発、業務効率化・業務改革、売上拡大・売上増大などのページもご覧ください。すべて、VVEを活用しております。なお、この技術を習得して独立開業し、活躍しているコンサルタントもおられます。
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