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開発&コンサルティング

第1回 VVEとは何か

VVEとは、VEを改善し、VEを基に開発したものです。かねてよりVEが複雑で理解し難いために習得に時間がかかり、その技術が充分活用されずにいることを残念に思っておりました。

長年、VEを活用してコンサルティングを行ってきた経験から、もっと簡単で分かりやすく、しかも効果的な方法はないかと考え、VEを改善し、VVEを開発しました。VEを全く知らない人にでもすぐに理解できてすぐに活用でき、しかも効果抜群の技術、それがVVEなのです。

VEをご存じない方もおられるでしょうが、VE(Value Engineering 価値工学)とは、コスト削減、新製(商)品開発、業務効率化、業務改革などに活用されている改善・開発・改革技術です。当初はコスト削減技術として生まれたものですが、その後いろいろな課題解決に世界中で活用されております。

一方、VVEは、VEを改善し、VEを基に開発したものです。つまり、改善・開発技術を改善・開発したものです。そこで、VVE(Valid VE)と名づけました。(Valid:正当な、効果的な)

VEをご存知の方の中には、「VEはもう古い」などと言われる方もおられます。しかし、VEの考え方や手法が理解しがたいために、「VEは古い」などと言っているのではないでしょうか。VEは自動車メーカや家電メーカを始め多くの大企業で活用されています。しかし、中堅・中小企業ではあまり活用されておりません。

VEは価値経営の原点です。直接部門の作業価値(すなわち付加価値)、直接部門から見た管理・間接部門の業務価値、顧客から見た商品価値、株主から見た企業価値、いずれも価値経営の見方です。そして、これらの価値を高めるための技術がVEなのです。つまり、価値経営の原点がVEにあるのです。

それだけではありません。我々の日常生活や社会生活におけるあらゆる課題解決にも役に立つのです。なぜなら、VEはあらゆる対象に対してその目的と機能(役割)を明確にし、その目的や役割を果たすにはどのような方法をとるべきかを決定する技術だからです。即ち、あらゆる対象の本来の姿やあるべき姿を明確にする技術なのです。

たとえば、

  1. その製(商)品、サービスは何のために存在し、どのような役割を果たし、どのような方法で作られ顧客に提供されるべきなのか。(製品やサービスのコスト削減、新製品やサービスの開発)
  2. その仕事は何のために存在し、どのような役割を果たし、どのような方法で遂行されるべきなのか。(作業・業務の効率化、業務改革)
  3. その部門や組織は何のために存在し、どのような役割を果たし、どのような方法で運営されるべきなのか。(組織改革)
  4. 人は組織の中で何のために存在し、どのような役割を果たし、どのような方法で活動すべきなのか。(人と組織の活性化、人事制度改革、組織風土改革)
  5. その企業は何のためにこの世に存在し、どのような役割を果たし、どのような方法で経営されるべきなのか。(企業改革、経営改革)

などの課題について、その答えを見出そうとすることは、まさにVEの考え方を適用していることになるからです。つまり、これらはすべてVE技術を活用することにより解決可能なのです。

以上のように、VE技術は非常に役に立つのですが、残念ながらその内容が複雑で混乱しております。10年以上VEに取り組んでいるVEの専門家でさえ十分に理解できず、改善・開発・改革活動の現場で混乱し、活動がスムーズに進まないことが多いのです。

その結果、活動の成果も十分に得られず、VEに対して不信感さえ抱く人もいるのです。そのためか、IE(インダストリアル・エンジニアリング:管理工学)やQC(クオリティ・コントロール:品質管理)に比較するとあまり活用されておりません。特に中小企業ではほとんど活用されておりません。

そこで、VEを簡潔にわかりやすくするとともに、VEの短所を排除し、VEの長所を強化発展させたのがVVEなのです。企業経営者・管理者の皆さんに、あるいは経営コンサルタントや技術コンサルタントの方々に、VVEを大いに活用していただき、企業の発展に役立てていただきたいと思います。

<VVE開発の背景>

なぜVEがあまり活用されないのか、その理由をクライアント企業で尋ねてみると、「VEをよく知らないから」「VEは難しいから」という答えが大半でした。さらに、どういう点が難しいのかを尋ねてみると、それは、筆者がそれまで疑問に思っていた点と全く同じだったのです。

そこで、VEの専門家(CVS:認定国際VEスペシャリスト)数人にそれらの疑問点について尋ねてみたのですが、残念ながらどなたからも納得できる回答は得られませんでした。

そこで、VEについて原点から見なおすことにしたのです。つまり、身のほど知らずにも、VEを改善しようと考えたのです。しかし、VEはそもそも改善・開発技術です。改善・開発技術を改善するにはどうすれば良いのか。

それは、少し考えてみてすぐに気づきました。VEにVEを適用すれば良いのです。なぜなら、VEは原点から見なおし改善する技術だからです。

そこで、VEの考え方、進め方、手法などについて、その目的は何か、その機能(役割)は何か、その役割を果たすもっと良い方法はないかとVEそのものにVEを適用していったのです。

そうすると、VEの基本的な考え方をはじめ、いろいろな手法が常識的に「おかしなもの」であることがわかったのです。そこで、VEの基本的考え方を見なおしすると同時に、VEを誰もが納得できる常識的な考え方に沿って体系づけることにしたのです。

こうして出来たのがVVEです。したがって、VVEには特に目を見張るような考え方もなければ、目新しい手法もありません。なぜなら、すべて常識的な考え方で成り立っているからです。よって、非常にわかりやすいものになったと思います。また、VEの優れた考え方をより発展させることによって、より効果的な技術にすることも出来ました。

その後、VVEによって、VE以外のいろいろな改善・開発技術を改善・開発することもできました。さらに、新しい改善・開発技術の開発もVVEによって出来ることがわかったのです。すなわち、VVEは改善・開発技術(コンサルティング技術)を生む技術、マザー技術となったのです。

Ⓒ 開発コンサルティング株式会社

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