3月6日と7日に千葉の幕張で、「ネットワーク時代の新・経営戦略」と題する展示会を見学しました。そこで、つたない知識で、しかも独断と偏見により、見学した感想を書いてみたいと思います。
まず、第一印象ですが、予想していたほど大きな展示会ではないし、人もあまり多くないなと思いました。入場してすぐに感じたのは、正面右側に陣取ったR社のマイクの声があまりにも大きくうるさかったことです。近くで聞こうという気持ちにはなれませんでした。
正面左側のF社の説明する声がR社の声にかき消されて聞こえにくくなっていました。競争意識をむき出してお客様を無視していたのです。さて、すべてについて細かく展示を見たわけではありませんが、身近なグループウエアについて、機能別に感想を書いてみたいと思います。電子メールや電子掲示板については特にコメントすることがないので省略します。
スケジュール管理はあまり活用できないのではないかと思い、各社で聞いてみるとやはり、「ほとんど使われていないようです」とのことでした。その理由はやはり各自がスケジュールを入力してくれないからということです。要するに、公開したくないからです。そこで、あるソフトメーカーは各自が入力してくれなくてもスケジュール管理ソフトを利用できるように工夫しました。
たとえば、会議の主催者がスケジュール表に会議予定を入力し、クリックすると自動的に出席予定者にメールで連絡が行くようにしました。出席予定者は各自で出欠を決め、また、調整をするというものです。つまり、主催者主導で勝手に予定を入れてしまい、後から各自が日程調整するというやり方です。こうすれば、各自のスケジュールは公開せずにすむということになります。共通的な会議などのスケジュールは公開するが、各自の日々のスケジュールは管理されたくないということだと思います。
電子会議というのはテレビ会議と異なり、顔も見えず声も聞こえず、画面に多数の発言内容を表示しただけのものです。また、参加者は場所や日時を問わず発言できるので、パソコン通信のフォーラムのようなものです。機能としてはお互いの発言(メール)がツリー状に整理されるというだけのものです。日時を問わず発言できるので、今まで以上にだらだらと会議をすることになってしまうと思います。したがって、電子会議と呼ぶには少し無理があります。
私がイメージしている電子会議は、やはり本来の会議と同様に、出席者を限定し、決められた時刻に会し、議題を明確にして議事進行し、きちんと結論を出し、予定時刻に終了する、というものです。なぜなら、本来、情報化の目的は意思決定と実行の迅速化にあり、会議は意思決定の方法の一つだからです。
工場長会議や支店長会議など場所を問わずにできるというのは大きなメリットですから、ぜひとも活用したいものです。筆談といういわゆるチャット(おしゃべり)という形になるが、その方が冷静に意見を整理して発言できるし、顔も見えない声も聞こえないので、誰が発言したのかわからないようにすれば、本当の意見が出て実のある会議ができると思います。
偉い人や怖い人が発言したら反対する人はいなくなるとか、新人は発言できないとかでは良い議論はできません。上手に利用すれば通常の会議やテレビ会議などよりもずっと良いと思います。画面を実際に会議しているような背景にすると良いと思います。例えば、画面に会議室が映し出され正面にホワイトボードがあり、そのボードに議題や予定時刻、出席者などが表示され、そして議事進行にしたがい発言内容が表示される、といったようにです。BGMなどが流れるともっと良いかもしれません。技術的にはなんら難しいことではないと思います。
データベースはユーザー企業で好きなように作ればよいのですが、データベース構築が非常にたいへんなのです。これを軽減するソフトが展示されていました。どの企業でも使えるようなものをテンプレート化したものです。データだけを入力すればよいのですから、よいソフトだと思います。もちろん、カスタマイズできるようになっていました。開発の理由を聞くと、自社でデータベース化したときに非常に時間がかかったからということでした。願わくば、更新しやすくするともっと良いと思います。
定常業務のワークフローはオートメーション化されつつあるようですが、非定常業務についてはまだのようです。ワークフローをビジュアルに表示することは簡単にできますが、進捗管理をどのようにするかが問題です。このためには、まず、進捗状況を把握できるようにしなければなりません。誰のところで停滞しているとか、どこまで作業が進行しているのか、などです。現状では進捗状況を知りたい人がメールで問い合わせてその結果をワークフロー上に表示する、ということのようです。
各自が未決、既決、作業中、作業終了などをクリック一つで入力すればフロー上に表示される、というようになればよいと思います。仕事の始めと終わりにクリックすれば良いのです。いわゆるカムアップシステムです。簡単にできることだと思います。これができれば関係者全員が進捗状況をつかむことができ、遅れている場合に督促したり、また、協力することもできるので迅速化が図れると思います。そのうえ、各自が早くやらねばという気になると思います。
ところで、ワークフロー構築のポイントはどんなフローにすれば迅速で質の高いワークができるかということです。つまり、工場で使われている工程分析と同様に、各業務の価値分析と時間測定ができるようなワークフローがあるともっと良いと思います。
しかし、これは当分の間出来ないと思います。なぜなら、業務のあるべき姿がわからないので、ムダな業務かムダではない業務かの判断が出来ません。また、そもそもデスクワークでは時間管理を行っていないので、だらだらとムダな業務を長時間行っているのが現状だからです。この点について解決方法は、業務効率化・業務改革のページをご覧ください。
帰り際に気づいたことですが、会場にいた人たちは20代から30代の若者ばかりでした。説明する側の人たちもほぼ全員が若い人たちでした。この展示会は若い人たちのものだったのでしょうか。それにグループウエアの開発も若い人たちが技術的にあれもできるこれもできるというように、思いつき的に開発しているように思えました。
なぜなら、業務遂行上の問題点はどの企業でも共通的なことが多いので、開発する場合には同じような課題に取り組むはずですがそうなっていないからです。つまり、目的より手段が先行しているようです。そのため、現状では百花繚乱といった所で標準化にはまだまだ時間がかかりそうです。
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