前回、景気が良く仕事が山ほどあり、非常に忙しい時なら業務効率化活動は成功する、ということを書きました。しかし、逆に、景気が悪く、人が余っている時にはどうすれば良いでしょうか。それは、簡単です。既に書きましたように、人員削減を行うか、それとも、業務改革活動を行えば良いのです。
なぜなら、現在は景気が悪くても、将来に向けて会社が成長発展するために取り組まなければならない課題は山ほどあるはずだからです。例えば、メーカーであれば、品質向上、コスト削減、納期短縮、製品開発、市場(顧客)開拓、新事業開発などです。
つまり、現状業務の効率化によってムダな業務(時間)や人を削減する一方で、強化業務や新規業務、あるいは新規事業を開発・設計して、これらに廃止・削減した時間や人、あるいは元々余っていた時間や人をシフト(再配置)して、人と組織の活性化を図れば良いのです。
つまり、前向きの課題に取り組むのです。前向きの課題に取り組むためには人や時間が必要ですから、現在余っている時間や人を活用するのです。強化業務や新規業務、あるいは新規事業などに取り組むことを目的に業務改革活動を行うのです。景気の悪い時期にこそ業務改革活動を行って、来るべき成長・発展に備えるのです。
新製品開発や新規事業開発などは今後2~3年の計画になりますので、これらを中期経営計画に盛り込むのです。よって、景気の悪い時には、中期経営計画を達成することを目的に業務改革活動を行えば良いのです。
業務改革について詳しくは第5章で説明しますが、今後は単に、新規業務や新規事業に取り組めば良いのではないのです。イノベーション(革新)が必要なのです。なぜなら、欧米では、今後、企業が生き残るにはイノベーションしかないと結論づけているからです。よって、世界の企業は、既にイノベーションの競争になっているのです。
ところが、日本の企業はイノベーションが実施できません。日本の企業はかつて、『ジャパンアズナンバーワン』という本がアメリカで出版されるほど世界を席巻していたのです。しかし、現在は見るかげもありません。かつては日本が援助していた後進国であった中国にも負けました。また、近いうちにインドにも負けることでしょう。この原因は、未だに、負け犬(フォロワー)の戦略を採っているからです。
負け犬の戦略を止め、チャレンジャーの戦略に変えなければなりません。そして、イノベーションにチャレンジする必要があるのです。このためには、業務改革活動を通じて、経営の骨組みを見直す必要があります。よって、第5章を「イノベーションのための経営の骨組みの再構築」としました。
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