企業であれば、メーカーはもちろん、卸売業や小売業でも商品開発が重要だということはわかっていると思います。しかし、実際には、ほとんどの中小企業は商品開発を行っていません。
顧客企業に、「商品開発したくないですか」と尋ねると、どの企業でも商品開発したいと言います。そこで、「それなら商品開発をしましょう」と言うと、「我が社では、とてもそんな余裕はないよ」とおっしゃるのです。
そこで、筆者は、「そんなに余裕があるのですか」と逆に聞き返します。禅問答のようですが、商品開発をしないということは、企業の将来はないということです。したがって、「商品開発をする余裕はない」などと言っていられないはずです。
「そうは言っても、開発するだけの技術もないし、人もいないし、資金もないし」と、できない理由を並べたてるので、「小学生や主婦でも商品開発をしているんですよ」と言うと、たいてい黙ってしまいます。
さて、世界レベルで企業間競争が激しくなる中で、大企業を中心とした下請分業構造はすでに崩壊しており、中小企業は独自技術を開発して、大企業と対等の立場でパートナー(相互補完関係)となるか、もしくは独自商品を開発して、独立せざるを得ない状況になっているのです。
現在は、高度経済成長時代のように、大企業が中小企業を育てながら活用するというような、のんびりした状況ではなく、大手メーカーは世界中の企業から、より良い部品をいかに安く早く調達するかに日夜努力しているのです。したがって、どの部品メーカーも、世界の企業と競争せざるを得ない状況になっているのです。
「しかし、そうは言っても・・・。そんなことは百も承知しているし、耳にタコができるほど何度も聞いているけれど、そう簡単に商品開発などできるわけないよ」とおっしゃいます。
商品開発は主婦でもできるのです。主婦でも、なんて言うと、主婦にしかられそうですが、少なくとも企業であれば、主婦よりも技術力、資金力があるでしょう。「ふざけないでくれ、主婦と弊社とはレベルが違うよ、一緒にしないでくれ」とおっしゃる企業もあります。しかし、どう違うのですか。何もしないで手をこまねいている企業より、家事の合間に台所用品など身近に使う商品を開発して、数千万円も稼いでいる主婦の方がすばらしいとは思いませんか。
開発しようとしなければ、いつまでたってもできません。当然です。あのパナソニック(旧松下電器)も最初から大企業だったわけではありません。最初は二股ソケットを開発したことが出発点だったのです。ソケットを二股にしただけですよ。それだけで大儲けし、会社の基礎を築いたのです。現在の大企業のほとんどは、最初から大企業だったわけではありません。あまり金をかけず、人もかけず、開発できるものもあるはずです。
技術開発や商品開発を行っていない会社は売上が増えるわけがないし、会社が発展するわけがありません。技術開発や商品開発を行っていないメーカーはいつまでたっても他社の下請けに甘んじなければならないし、経営環境が変わって受注が減少すれば、いずれ廃業するしかないのです。
また、我が国全体を考えても、このままでは景気が良くなることはありません。このため、中小企業庁では研究開発を行う中小企業に対して、補助金や低利融資などいろいろな支援をしています。
また、企業単独での研究開発だけでなく、複数の企業の連携による研究開発でも、補助金や低利融資などの支援を行っています。このように、共同で研究開発することにより、研究開発が容易にできるようになっています。
しかし、特許庁の調査によると、共同開発による権利化についての争いが多くなっており、やはり単独での開発が理想であるとしています。そこで、まず、次ページ以降を読んで、実際に開発を自社で行ってみてください。わかりやすく書いてありますので、自社でできるはずです。
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