子供の頃の勉強は理解して覚えることばかりで、工夫して(考えて)創作することはあまり行いませんでした。よって、工夫して創作することの楽しさを知らないまま、大人になってしまったのです。このため、多くの人は商品開発や製品開発をしようとしないのです。
例えば、いわゆる下請の中小企業は、商品開発や製品開発を行っていません。なぜでしょうか。実際に企業に聞いてみると、人材がいないとか、資金がないとか、技術がないとか、と言います。しかし、これは言い訳です。なぜなら、商品開発や製品開発は小学生でも主婦でも出来るからです。
小学生でも特許を取っていますし、主婦は自分が欲しいものを開発するので成功確率が高いのです。よって、中小企業でも主婦と同じように消費者の立場で考えれば良いのです。中小企業だからといって、できないことはないのです。では、なぜできないのでしょうか。その理由は、できないと思っているからです。つまり、単に気持ち(意識)の問題なのです。
だいぶ前になりますが、毎週火曜日の夜7時に、「伊藤家の食卓」というテレビ番組があって、主婦や子供たちが工夫したことを放映していました。これを見ると、自分で工夫したと思われるものだけでなく、いわゆる、おばあちゃんの知恵や、誰かから教えてもらったものもありました。
これらを専門家と称する人が、「◯◯の法則を上手に利用したものです」「◯◯の原理を応用したものです」などと解説していました。その法則とか原理というのが、「表面張力」だとか、「てこの原理」など、よく知られているものだけでなく、聞いたこともないような法則や原理がありました。実際に、主婦や子供たちが、◯◯の法則や◯◯の原理を知っていて、それを上手に利用したのかというと、そうではありません。それらを全く知らないで工夫したのです。
では、なぜ、できたのでしょうか。それは、工夫しようと思ったからです。工夫しようと思って、いろいろと考えたからできたのです。工夫しようと思わなければ絶対にできないのです。当たり前です。重要なのは、楽しみながら、ああでもない、こうでもない、と考え続けられるかです。つまり、工夫することが楽しいと思えるかどうかです。楽しくなければ工夫しようとはしません。
では、なぜ楽しくないのかを考えて見ましょう。考えることが好きな人と嫌いな人とがおります。考えることが好きな人は、考えた結果、何かができて嬉しかったとか、考えたことが何かの役に立ったとかを、経験しているのだと思います。
人は、誰もできなかったことが、自分にできたときは非常に嬉しいものです。そして、このことによって自信が生まれるのです。「誰もできなかったことが自分にできた!」という経験によって、難しいことでもできるかもしれない、いや、自分なら絶対にできる、と思うようになるのです。なぜなら、実際に誰もできなかったことが自分にできたからです。
ところが、多くの人は、このような経験をほとんどしていません。小学校以来、学校で興味のないことを無理やり勉強させられて、勉強嫌いになった人は多いと思います。なぜなら、興味のないことを無理やりやらされて好きになることはないからです。「勉強しろ」「勉強しろ」と親や先生に言われて、無理やり勉強させられたのです。
しかも、それは工夫して創作することではなく、理解して覚えることばかりだったと思います。それで、考えることの楽しさを知らないまま、大人になってしまったのです。筆者のように、子供の頃にあまり勉強をしなかった人は考えることが好きになるのかも知れません。
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