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開発&コンサルティング

第91回 2011年版中小企業白書はいつでも役に立つ保存版です。

なぜ、2011年版白書が保存版かと言いますと、

第1章においては、中小企業が地震、津波による甚大な被害、原子力発電所の事故による被害、さらに円高の進行や原油価格の高騰等により、泣きっ面に蜂どころかいくつかの大きな損害を一度に受けたにもかかわらず、復旧・復興に向けて多くの中小企業ががんばっている姿が描かれているからです。つまり、今後、あなたの会社が何らかの甚大な損害を受けたときにこの章を読まれることにより、またがんばろうという気持ちを取り戻せるのではないかと思うからです。

第2章においては、中小企業がわが国の経済社会を支えており、重要な役割を担っていることをこのような時だからこそ改めて再認識し、急速な景気低迷や深刻化する構造的課題の中で中小企業の役割をどのように維持していくのかを分析しているからです。つまり、あなたの会社が経済的社会的役割を失うことになったときには、自然消滅することになるわけですが、この章を読むことによりその兆候をいち早く知ることができ、早めに何らかの手を打つことができるからです。

さらに、特筆すべきは、第3章において、どのようにすれば中小企業が起業、転業に成功し、どのようにすれば労働生産性の向上や国際化を果たすことができるのか、つまりどのようにすれば成長発展することができるのかをその原点に立ち返って書かれているからです。

つまり、ここに書かれていることを実行することにより、あなたの会社が成長発展することができるのです。原点に立ち返って書かれていることから、どの時代においても役に立つ内容となっているのです。そういうわけですから、是非とも保存版として常に手元に置いて、参考にしていただきたいと思います。

ところで、中小企業白書を読まない中小企業が多いようです。その理由を尋ねると、「読むのが面倒」「難しい」「読んでも役に立たない」というのがほとんどの意見です。そこで、「読んでも役に立たない」と答えた人に、「どのようなことが書かれていましたか」「なぜ役に立たないと思いましたか」などと質問をすると、答えられないのです。要するに読んでいないのです。

中小企業白書はあなたの会社のために書かれたものではなく、日本の中小企業全体について書かれたものですから、あなたの会社ですぐに役に立つものではありません。あなたの会社に役に立つかどうかはあなたの読み方と利用の仕方しだいなのです。

例えば、あなたの会社で経営戦略や生産戦略、マーケティング戦略などの戦略を立てようとしたときには非常に役に立つはずです。なぜなら、ヒントになることがたくさん書かれているからです。つまり、あなたの会社で今後の経営の方向付けをしようとする場合に役に立つのです。特に重要なことは、間違った方向付けをしないように白書がチェックしてくれることです。なぜなら、うまくいかなかった企業のことも書かれているからです。

もう1つ、知っておくべき重要なことがことがあります。それは、「国に頼っても国は何もしてくれない」と言うことです。国は頼るものではありません。国は利用するものです。頼ると利用するとでどう違うのかと言いますと、意識と行動が違うのです。

つまり、受動的か能動的かです。「国は何をしてくれるのか」と待ちの姿勢でいる企業には国は何もしません。なぜなら、国はやる気と能力のない企業には支援しないからです。国はやる気と能力のある企業だけを支援するのです。これは、中小企業支援法という法律で決められています。

要するに、白書を読まないようなやる気のない企業や白書に書かれていることを実行しない企業には国は支援しないのです。そして、実行する企業を国は支援するのです。白書にはいろいろな施策(支援内容)が書かれています。

支援内容には、補助金、減税、低利融資、専門家の派遣、専門家による助言、教育研修などいろいろとありますが、これらには当然、税金を使います。税金を無駄に使うわけにはいきませんから、やる気と能力のある企業にだけ税金を使って支援するのです。そういうわけですから、まずは、白書をよく読んでください。よって、今回は白書の具体的な内容は掲載しません。

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