経営革新計画を作成して都道府県に申請し、承認を受ければ次のいろいろな支援が受けられます。
(1)設備投資減税(中小企業基盤強化税制)
経営革新計画の事業のために取得(又はリース)した機械・装置につき取得価格の7%の税額控除(リースの場合は費用総額の60%相当額の7%)、又は30%の特別償却
(2)同族会社の留保金課税の停止措置
(1)信用保証の特例
信用保証とは金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が債務保証をする制度です。普通保証4億円、無担保保証1億6千万円、無担保無保証人保証(小規模事業者のみ)2千5百万円、なお研究開発費については別途3億円です。
(2)政府系金融機関による低利融資制度
設備資金7億2千万円まで、利率は中小公庫、商工公庫、国民公庫の各金融機関にお尋ねください。
(3)高度化融資制度
組合又は4社以上の任意グループが対象です。土地、建物、構築物、整備に対して無利子で貸付けます。貸付割合80%以内です。
(4)小規模企業設備投資資金貸付制度の特例
設備の購入代金の半額を無利子で貸付けます。貸付限度6千万円、所要資金の2/3以内、但し、連帯保証人又は物的担保が必要です。
(1)ベンチャーファンドからの投資
ベンチャーファンド(投資事業有限責任組合)が株式公開を目指すベンチャー企業に投資を行います。
(2)中小企業投資育成会社からの投資
資本金3億円以下だけでなく、計画の承認を受けた場合には3億円を超える企業も対象になります。会社の設立に際して発行される株式又は増資新株の引受け、新株予約権の引受け、新株予約権付社債の引受けなどです。
(3)経営革新計画関係補助金
都道府県によっては直接補助する制度がありますので、各都道府県にお尋ねください。また、国から技術開発、販路開拓などのために直接補助する制度がありますので、経済産業局にお尋ねください。
(1)販路開拓コーディネート事業
東京・大阪の中小企業・ベンチャー総合支援センターに、商社・メーカーなどの企業OBが配置され、そのネットワークを活用して、中小企業が開発した新商品などを商社・企業などに紹介又は取次ぎを行います。
(2)中小企業総合展
東京ビッグサイト、又はインテックス大阪において開催される中小企業総合展に1小間無料で出展できます。電気工事、仮説電話回線工事など出展に必要な費用は実費です。出展企業が自社の開発した新商品・技術・サービスをプレゼンテーションします。
特許関係料金減免制度
特許審査請求料、特許登録料(第1~3年分)が半額になります。
では、なぜこのようにいろいろと国が支援してくれるのかと言うと、資源の乏しい日本が成長発展していくには、企業の99%以上を占める中小企業が知恵(アイデア)を出して経営革新(新しい事業活動)を行うしかないからです。つまり、中小企業が経営革新を行わないと日本の国が衰退してしまうからです。実は、このことが平成11年に施行された「中小企業基本法」の要旨なのです。
旧中小企業基本法の基でも、「新事業創出促進法」「中小企業創造活動促進法」「中小企業経営革新支援法」などいろいろな法律に基づく支援策がありました。しかし、いずれの法律も利用しにくい法律だったため、新しい「中小企業基本法」の基で、これらの法律を見直して利用しやすい法律に一本化したのです。この新しい法律が「中小企業新事業活動促進法」というものです。この法律の利用企業は徐々に増えているのですが、いまだにご存じない企業も多いのでこの「一言」のコーナーで紹介することにいたしました。
この法律の特徴は、
(1)すべての業種の経営革新を支援する。
(2)単独の企業だけでなく、任意グループや組合などの経営革新も支援する。
(3)要件としては、具体的な数値目標を決めた経営革新計画の作成が必要であり、都道府県が進捗状況の確認と指導・助言を行う。
というものです。
では、「経営革新」とは何かというと、「事業者が新事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ること」と定義されています(中小企業新事業活動促進法第2条第6項)。
では、新事業活動とは具体的に何かというと、
(1)新商品の開発又は生産
(2)新役務(サービス)の開発又は提供
(3)商品の新たな生産方式又は販売方式の導入
(4)役務(サービス)の新たな提供方式の導入その他の新たな事業活動
と定義されています(中小企業新事業活動促進法第2条第5項)。
したがって、単独又は任意のグループ企業で経営革新計画を立て、具体的な数値目標を決めなければいけません。ところが、おそらく多くの中小企業では経営革新なんてそんな難しいことはできないと言うでしょう。そんな技術もなければ人材もいないと言うでしょう。しかし、この法律の良い点は他の企業の真似でも良いということなのです。他の企業が既に実施していることを真似して計画を立ててもその企業にとって新しいことであればOKなのです。
さて、次に問題となるのが数値目標ですが、経営の相当程度の向上とはどの程度なのでしょうか。それは、具体的には付加価値額又は1人あたりの付加価値額で年率3%以上の伸び、あるいは経常利益が年率1%以上の伸びであれば良いのです。計画期間は3年~5年となっていますので、この期間にこれだけの伸び率が期待できるような計画を立てれば承認されるのです。
そして、承認されれば経営革新計画の実施に際して、最初に書いたいろいろな支援が受けられるのです。もう1度最初の支援策を良く見てください。これだけの支援があれば経営革新計画を実施できるのではないでしょうか。とは言っても、どのように計画を立てればよいかわからないという方は各都道府県にお尋ねください。また、何を実施するか、どのように実施するかなど、より具体的なアドバイスが欲しいという企業は弊社にご相談ください。
なお、経営革新計画の案内パンフレットなどは最寄の商工会議所・商工会などでもらえますし、中小企業庁のホームページからもダウンロードできます。
最後に少し宣伝させていただくと、新事業活動である新商品の開発又は生産、新サービスの開発又は提供、商品の新たな生産方式又は販売方式の導入、サービスの新たな提供方式の導入などについて、具体的なアドバイスを行うことができるコンサルタントは日本広しと言えどもあまりいないと思います。
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