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開発&コンサルティング

第74回 経営コンサルタントの選び方と使い方

大企業は経営コンサルタントをできるだけ使おうとするが中小企業はあまり使おうとしない。なぜかと言うと、大企業の社長はほとんどがサラリーマン社長であり、業績が悪くなれば降格されてしまうのに対して、中小企業の社長はオーナー社長であるため、業績が悪くなっても降格されないからである。

そのうえ、中小企業の社長は非常にプライドが高く、自分の会社は自分で経営するのだ、経営コンサルタントなんぞに口を出して欲しくない、邪魔されたくないと思っているからである。

さらに、経営相談なんぞをするのは経営者に経営能力がないからだとさえ思っている。それで結局、独りよがりの経営をして業績を悪化させているのである。さらに、悪いことに、たまたま時流に乗って業績が向上している中小企業では、経営能力が高いために業績が向上したのだと勘違いしてしまい、外部環境が変化すればあっという間に業績が悪化してしまうことに気づかずにいるのである。

その証拠に、中小企業白書によると、中小企業が経営相談する相手は、主に顧問税理士や会計士、取引先、親類縁者などであって、経営コンサルタントなどではない。経営コンサルタントのようなどこの馬の骨かわからない得体の知れない人間に経営相談はしないのである。したがって、中小企業が経営コンサルタントに経営相談をしてきたときには、すでに税理士や会計士などに相談済みであり、手の打ちようがなくなっている場合がほとんどなのである。

と言うのも、税理士や会計士は税務や会計の専門家であるのに、経営の専門家だと勘違いしているからである。各地の商工会議所や商工会、都道府県の商工課、あるいは各地の中小企業支援センターなどでも経営相談を受け付けているが、相談内容のほとんどが資金繰りや税務、あるいは法律に関することであって、経営に関する相談はほとんどないのである。

つまり、もっと売上や利益を増やすにはどうすればよいかといった相談はほとんどないのである。そのうえ、商品開発や業務改革といった課題が明確な相談は皆無なのである。

一方、大企業では日々いろいろな課題に取り組んでいるため、少しでも良い方法はないかと血眼になってコンサルタントを探している。大手メーカーであれば納期短縮、品質向上、コストダウン、商品開発、業務効率化・業務改革などに日々取り組んでいる。したがって、自助努力で取り組んでも不十分な効果しか出せない場合に、経営コンサルタントに依頼するのである。

しかし、中小メーカーのほとんどはこういった前向きの業務をほとんど行っていない。日々の受注の確保や受注をこなすことで精一杯であり、そのうえ顧客のクレーム対応や品質不良対策に追われているのである。すなわち、前向きの業務、攻めの業務は皆無に等しく、後ろ向きの業務、守りの業務ばかり行っているのである。だから環境が変化すれば簡単に業績が悪化してしまうのである。

さて、経営コンサルタントを選ぶには、学歴とか保有資格などではなく、コンサルティング経験の豊富な人を選ぶ方が安全である。なぜなら、経営コンサルタントというのは税理士や会計士、弁護士などと異なり、学歴も資格も必要がなく、実力で仕事ができる職業だからである。名刺に経営コンサルタントと書けば誰でも経営コンサルタントになれる。

したがって、学歴や資格があるからという理由で選ぶと、実力がないコンサルタントを選んでしまう危険を冒すことになる。経験が豊富だということは、長年、経営コンサルタントとして飯を食ってきたわけであるから、それだけ実力があるという証拠なのである。

もう1つ重要な選定のポイントがある。それは、単に知識を教える研修しかできないコンサルタントなのか、利益や売上の向上にかかわる改善、開発、改革のコンサルティングができるコンサルタントなのかを見極めることである。

経営コンサルタントというのは、本来、顧客企業の売上や利益を増加させることができる能力を備えていなければならない。そうでなければ経営コンサルタントではない。研修しかできないコンサルタントは自分が勉強をして得た知識を切り売りしているだけに過ぎないので、教師、あるいは講師と言うべきである。よって、私は顧客企業から「先生」と呼ばれるのが最も嫌いである。

改善、開発、改革のコンサルティングができるコンサルタントは、自ら改善、開発、改革を実施した経験があるからできるのである。これを見極めるには、何が得意なのかを調べればよい。メーカーが対象であればコストダウン、品質向上、納期短縮、それに商品開発などである。卸や小売業が対象であれば、商品政策、PB商品開発、販売促進などである。

あるいは、業種業態にかかわらず、業務改革、業務効率化、組織改革、技術開発、市場開拓などである。これらのテーマでコンサルティングを行うためには、必ず目標を設定して目標達成に向けてコンサルティング、すなわち提案と助言ができなければならない。

コンサルタントを使う場合に顧客企業がとる態度はいろいろである。まず、最も悪いのが顧客企業の人たちは何もしないでコンサルタントのお手並み拝見という態度である。これでは成果は絶対に出ない。

なぜなら、企業の外部の人間であるコンサルタントが現状把握して問題点を発見し、作成した改善案など企業の人が実施するわけがないからである。このようなお手並み拝見といった態度の企業の場合には、当然、コンサルティングをお断りすることになる。

コンサルティングの本来の進め方は、コンサルタントが提案した「課題解決のための考え方・進め方」について、顧客企業が検討し、必要により修正し、修正した内容に沿って顧客企業が実施し、実施した内容に対してコンサルタントが助言をし、顧客企業がその助言に沿って内容を修正する、ということを繰り返しながら成果に結びつけるという形である。

つまり、コンサルタントと顧客企業とは役割分担し相互に理解を深めながら作業を進めるのである。しかし、この場合においても、顧客企業の人がコンサルタントの提案内容を理解しようとしなかったり、提案内容を実施しなかったりすれば、当然、成果には結びつかない。

忙しいとの理由で、会合に欠席する人が多い中小企業では、当初の目標達成はできないことになる。そしてそれをコンサルタントの責任にしようとする中小企業が多い。ちなみに、大企業の場合にはこのような企業は皆無であると言ってよい。

なぜなら、課題によっては社長が積極的に参加して自ら作業を行うため、他の役員や部課長は欠席できないからである。しかも、中小企業では質問や意見がほとんどないのに対して、大企業では毎回山ほどある。大企業は経営コンサルタントの使い方が上手なのである。

顧客企業がとる態度で最も積極的なのが、最初に提案するコンサルティング企画書を基に、顧客企業が自ら作業プログラムを作り、そのプログラムをコンサルタントに示してこのようにしたらどうか、と言ってくる企業である。

企画書の段階でコンサルタントの考え方や進め方がわかるので、それを顧客企業が作業レベルにブレイクダウンしてしまうのである。したがって、コンサルタントが具体的な提案をする前に、どのような作業をすれば良いかをお互いが検討できるので、非常に効果的な活動ができ、当然、成果も大きくなる。しかし、大企業といえども、このように積極的な企業はごくまれで、通常はやはりコンサルタントの具体的な提案を待ってから作業内容を検討する企業が多い。

また、具体的な提案は、毎回、実施した作業状況によって変化するので、次回実施する前に書類などに書いて送付し、その書類をあらかじめ関係者に配布しておいてもらい、当日にその書類に沿って改めて提案をする。この場合、書類に書かれていることだけでなく、その書類を送付した後に考えたことや、より詳しい内容を口頭で説明する。

この方法を用いれば、実施する前に具体的な提案内容がわかるので、事前に質問を受けることもできる。したがって、大企業の場合には事前に質問や意見がある。しかし、同じ方法で行っても中小企業の場合には事前に質問や意見を受けることはほとんどない。

要するに、コンサルタントを上手に使うには、気になることは早めに何でも質問や意見を言い、少しでも不安のないようにして、活動を進めることである。そして、できるだけコンサルタントの能力(知識、経験、アイデアなど)を活用することである。

Ⓒ 開発コンサルティング

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