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開発&コンサルティング

第72回 プレインストールソフトには気をつけよう

昨年の10月から特許等の出願や特許庁へのいろいろな手続きがインターネットを通じてできるようになりました。そこで、以前より考えていた発明をインターネットで出願すべく準備をしていました。昨年の暮れにようやく図面や明細書などの特許出願書類を書き上げて、いよいよ出願という段階にこぎつけました。

まず、特許庁とインターネットを通じて個人認証を行うために電子証明書が必要です。私はすでに、顧客企業との暗号化メールに使用するためにPGPをパソコンにインストールしていました。また、べりサイン社からSMIMEの電子証明書も取得しておりましたが、これらは民間でしか使用できないということでした。

そこで、改めて日本商工会議所から官庁とのメールのやり取りを暗号化し電子署名する電子証明書を購入することにしました。ちなみに、これは官庁とのやり取りだけで民間では使えないということです。

ところが、この日本商工会議所発行の電子証明書のファイルをダウンロードしたところ、PGPとバッティングしてしまい、ファイルがPGPのアイコンに変わってしまったのです。そのため、インポートできなくなってしまったのです。そこで、対策として、まず、PGPをパソコンから削除しました。

ところが、すでにシステムの一部が壊れてしまったようで、日本商工会議所のテクニカルサポートの方といろいろ対策したのですが解決できませんでした。そこで、パソコンメーカーのテクニカルサポートの方に相談したところ、OSからリカバリーしなければ直らないということでした。

私が使用しているデスクトップパソコンはすでに、4、5年使用しているパソコンで、いろいろなソフトをカスタマイズして使用しているし、データもかなりの量があります。リカバリーして完全に元の状態に戻すことは時間がかかるし、元の状態に戻らないというリスクもあるので困ってしまいました。パソコンメーカーではパソコン自体に重大な問題がなければリカバリーは避けたほうがよいという意見でした。確かにそのとおりだと思い、リカバリーするのはやめることにしました。

実は、以前より新しいノートパソコンが欲しいと思っていたので、この際に思い切り購入することにし、新しいノートパソコンから特許出願をすることにしました。今年の2月に新しいノートパソコンを購入し、早速、デスクトップパソコンにダウンロードした電子証明書をノートパソコンに移したところ、正しく表示され無事にインポートすることができました。

そこで次に、特許庁のホームページより出願ソフトをダウンロードし、インストールしようとしましたがどうしてもインストールできません。購入したばかりのパソコンですから原因はパソコンにあるとは思えませんでした。そこで、特許庁のサポートの方に対策について具体的に書いてもらいファックスで送ってもらって実施しましたがうまくいきません。

何度も何度もあの手この手のいろいろな方法についてファックスを送ってもらい実施しましたがどうしてもうまくいきませんでした。すでに、このやり取りが1ヶ月間以上に及び、ファックスの枚数も20枚以上になりました。

それまで、づっとファックスで対策を書いてもらっていたのを今度は特許庁からの添付資料を参照しながら対策してみることになり、電子メールで資料を添付して送ってもらいました。この資料を見ながら対策するためにいったん印刷することにし、このためにパソコンを購入して初めてプリンタドライバーをインストールすることにしました。ところが、今度はどういうわけかプリンタドライバーがインストールできないのです。

インストールしようとすると得体の知れないソフトが立ち上がってしまうのです。そこで、調べてみるとこのパソコンを購入したときにプレインストールされているソフトが原因だということがわかったのです。そこで、早速、このソフトをパソコンから削除しました。

また、プレインストールされている別の得体の知れないソフトもついでに削除しようとしたのですが、こちらはどうしても削除できないのです。そこで、パソコンメーカに問い合わせてこのソフトを削除しようとしたのですが、完全に削除できずに、結局、ソフトメーカーに直接問い合わせることになりました。

ソフトメーカーに問い合わせてようやく削除することができ、無事にプリンタドライバーも出願ソフトもインストールすることができたのです。原因が判明した以上、当然、私はパソコンメーカーに抗議しました。ところが、パソコンメーカーからは謝罪の電話もメールも何も来ませんでした。無視されたのです。

私はこのパソコンメーカーを告訴し損害賠償の請求をしたい気持ちです。実際に、私は約1ヶ月の間かなりの時間を割いて特許庁のテクニカルサービスの方と対策していますので、損倍賠償を請求してもバチが当たらないだろうと思うのです。製造物責任の問題です。多くのユーザーのためにも、このようなことがないようにしてもらいたいです。

このパソコンメーカーは誰もが知っている超有名なメーカーです。このような超有名なメーカであっても、顧客を無視するような行為を平気でするのです。それなのに、顧客満足度調査などというメールが来たので、私は満足度0%と書いて送ってやりました。

最近ではいろいろなソフトメーカーがいろいろなソフトを開発し、それを宣伝するためにパソコンメーカーと提携し、無料でプレインストールしています。現在では数え切れないほど多くのソフトが開発されていますからソフトメーカーでは他のどのソフトとバッティングするかはわかりません。また、パソコンメーカーもそのことをろくに調べもせずにいろいろなソフトをプレインストールしてパソコンを販売しています。

プリンタドライバーがインストールできないパソコンなんてパソコンとしては不良品でしょう。今後もますます同じようなことが起こる可能性があります。われわれユーザーとしてはこのようなことに対して、どう対応すればよいか、それは得体の知れない不要なソフトはパソコンを購入したときに最初に削除することです。必要なソフトがインストールできなかったり、また、インストールしようとしたためにパソコンが壊れてしまったりしたのでは何もなりませんから。

Ⓒ 開発コンサルティング

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