次ページ  目次

開発&コンサルティング

第71回 ITを活用して儲けるには

先日、IPA主催の「情報化月間記念特別行事」というのに参加してきました。IPAって何? という方のために簡単に紹介しますと、独立行政法人情報処理推進機構というものです。それって何? とさらにおっしゃる方のためにひと言で紹介しますと、わが国のIT推進を図っているところです。

いろいろな事業を行っているのですが、私たちの身近かな事業として、IT関係の国家試験、情報処理技術者試験を実施しています。また、ウイルスを発見したらこの機構に報告してくださいということになっています。

さて、この行事は、現在、経済産業省が推進している「IT経営応援隊事業」の一環として行われたものです。このIPA主催の行事の中で、IT経営を行って、ものすごく儲かっている中小企業を「IT経営百選」として約100社選び、その中からさらに優秀な企業を選んで発表会を行ったわけです。その発表の内容を見てわかったことをここに書いて、皆さんの参考にしてもらおうというのが今回の趣旨です。

IT経営というのはひと言で言えばITを活用して経営を行うことです。よって、単に、事務処理がスピードアップしたとか、コピー枚数が減ったとかではダメです。しかも、「IT経営百選」に選ばれるにはITを活用して経営革新を行い、その結果、かなり儲かったということにならなくてはいけません。

そのためには、ITを活用して今までとは異なる儲かる仕組み(ビジネスモデル)をつくった会社でなくてはなりません。もし、この「ITを活用した儲かる仕組み」が多くの企業でも使えるようなものであれば、それはビジネスモデル特許になる可能性があります。

しかし、今回発表されたものは多くの会社で使えるような汎用的なものではなく、その企業独特のものです。つまり、その企業の実情を踏まえた儲かる仕組みなので、皆さんの会社でそのまま真似しようとしてもダメです。ただし、その考え方は真似できるのです。そこで、まず、いくつか具体的な事例を紹介します。

<株式会社 ネイチャー生活倶楽部>

化粧品の開発・販売を行っており、従業員29名、女性の社長でIT部門の責任者も女性である。社長自身が化粧品で悩んで、自ら商品開発し、多くの悩める消費者のためにいろいろな化粧品を開発販売しようと考えたのが起業の動機である。だからと言って社長はこれまで化粧品の開発など1度も行ったことがないのである。ここに、パワーがある。

この会社の特徴はこの社長と同じようにこの会社の顧客である消費者自身が開発を行っていることである。そんなことできるのかと思われるが、実際にやっている。この会社の事業目標は、消費者自身が商品開発を行い消費者にしかできないこだわり商品を誕生させることである。

当然、商品は無添加で化学薬品は一切使っていない。消費者の悩みを解決するためにはどんなに高い原料も惜しげなく使う。一般小売は行っていない。通信販売のみである。顧客である消費者がこの会社の倶楽部メンバーであり、消費者と一体となった会社である。これが儲かる仕組みとなっている。

この会社のIT活用は次の点である。顧客対応の必要な情報収集にすべてITを活用。データベース、会話システムを導入。制作業務に電子メールを活用。WEBサイトを通じて情報発信、申し込み受付、新規顧客開拓などを行う。販売・仕入れ、経理のプロセス全体をIT化。売上・入金までを電子メール化。取引先との情報共有などもメールで行う。

<株式会社 アースダンボール>

社名のとおりダンボールの製造販売を行っている、従業員27名の会社である。この会社ではダンボール箱一箱からのオーダーメイド受注をしている。ダンボールへのダイレクトフルカラー印刷を行い、表面艶出しを行ってかなりきれいな仕上がりの印刷ができる。

箱に関してはできないものはないという事をポリシーにしている。そして、お客様のこだわりを生かした箱の製作を得意としている。WEBサイトで商品紹介し、ネット、電話、ファックスを使って99%受注をしているため、営業が出向くことがない。

また、新規顧客開拓は99%WEBサイトからである。この会社の強みは社長自ら作った個別原価計算システムにある。正確な原価把握による利益の確保と見積もりの即答ができる。これは他のダンボールメーカでは行っていない。

また、他社に真似できない独自性として、箱の強度計算がある。どのようなダンボール箱に何キロのものを入れた時、何段まで積むことができるかなどが瞬時にわかる。このシステムは世界に唯一のものだという。さらに、OBを積極活用して経営改善を行っている。これらが儲かる仕組みとなっている。

IT活用については、SEO対策を行いグーグルで「ダンボール」で検索し第一位。アで始まる社名もSEO対策で変更した。50音ソートで上位にランクされるためである。全営業員がイラストレータとCADを使用して客先デザイナーと直接対応できる。電子メール、携帯メール、簡易ボイスメール、掲示板などを活用し、情報を共有化している。受注、売上状況をリアルタイムに把握し、同時に予測グラフにして従業員全員が見られるようにしている。

<株式会社 中田製作所>

アルミ素材に特化して、多業種に渡って精密部品を少量製造販売している従業員20名の会社である。顧客の開発設計段階から積極的に参加する企画提案型の企業である。新規案件の受注はすべてWEB経由である。この会社の強みは図面、受注履歴、技術データ、製造プロセスなどを図面管理システムで統合管理していることとアルミの精密加工技術にある。

現場の技術者が営業も担当しているため、技術力だけでなく企画提案力を備えている。1業種1社を取引の原則にしているため、顧客の信用が高い。実績ベースで価格を決め、多品種少ロット受注をして価格競争に巻き込まれないようにしている。毎月、顧客満足度の詳細、損益分岐点分析の状況、各機械の稼働率、技術者のスキル認定などを社内で公表している。技術能力向上のための教育訓練に積極的に支援している。

IT活用は、事務処理、日常業務すべてをデジタル化、顧客とメールで図面や開発案件のやり取り、図面データ送受信、三次元CAD/CAMの活用、熟練技能やノウハウをデータベース化、などを行っている。なお、これらの図面、受注履歴、技術データ、製造プロセスなどを図面管理システムで統合管理しているがこれは社長自ら開発したシステムである。新規顧客の受注はすべてWEBサイト経由である。


以上、中小企業でありながら超儲けている会社の事例を紹介しました。どうですか。すごいと感じましたか?そのほかの優良企業もそうですが、すごいのは儲かる仕組みをITを活用することによって作り上げていることです。それに、もっとすごいと思うのはこの儲かる仕組みを社長自ら作り上げていることなのです。

そのほかの優良企業も含めて、すべての会社の社長がワンマン社長であり、社長が自ら積極的に経営の根幹に踏み込みITに取り組んで儲かる仕組みを作っているのです。中小企業はワンマン社長でなくてはダメなのです。おわかりでしょうか。社長が自ら儲かるための仕組みを考え、その実現を図らなければ中小企業は儲かるようにはならないのです。

それはなぜでしょうか?それは社長と従業員とでは根本的に立場も意識も違うからです。中小企業の社長はほとんどがオーナーですから、例えば、従業員はいつでも他の企業に転職できますが、社長にはできません。会社が儲かっても儲からなくても給料は払わなくてはなりませんが、会社が儲からなければ社長は儲かりません。

実際、中小企業白書によると社長より従業員の平均給与の方が高い中小企業が多いのです。しかし、会社が儲かればそれに比例して社長も儲かります。これが大企業と中小企業の違いです。したがって、例えば、工場の騒音は従業員や地域住民にとっては困りものですが、社長にとっては金を生む心地よい音に聞こえるものなのです。ですから、中小企業では社長が自ら儲かる仕組みを作らないとダメなのです。

一般に、中小企業が勝ち残るためには、

  1. 多品種少量、高付加価値商品を扱うこと
  2. ニッチ市場を狙うこと
  3. 他社には真似できない競争優位性を確保すること
  4. スピード経営を実現すること

などです。よく、わが社は多品種少量なので大企業とは違いますから儲からないんです、などと言う社長がいます。馬鹿言ってんじゃないよ!と言いたいです。そんなこと大企業でも同じです。消費者ニーズが多様化・高度化しているのですから、いろいろな商品を少しずつ作って売らなければ大企業でも生きてはいけません。しかも、常に高付加価値商品を開発し続けなくてはなりません。

次に、ニッチ市場というのは、大企業が参入しにくい市場です。キメ細かい顧客対応をしなければならない市場です。まあ早い話が、面倒な仕事をしなければならない3k市場です。それに、他社に真似できない競争優位性を確保するのは当たり前ですね。そうしなければ競争に勝てませんから。

最後にスピード経営ですが、これにはITの活用が欠かせません。そして、これら4つを実現する仕組みこそが儲かる仕組みなのです。そして、何度も言いますがそれを社長自ら考えなければいけないのです。なぜなら、はっきり言って儲けるのは社長だからです。

話は違いますが、昨日と一昨日、ITコーディネータ協会主催の「ITコンファランス2005」というのに参加してきましたが、その中で産業集積地域として有名な東京都大田区の中小製造業の多くがITと聞くだけで拒否反応を示すということが話題になりました。このような状況は以前からあったのですが、その原因はITベンダーにあります。

いろいろなITベンダーが役に立たないいろいろなソフトを無理やり売りつけたのが原因です。はっきり言って中小企業をだましてきたのです。だから、ITと聞くだけで拒否反応を示すのです。これは不幸なことですが、ITそのものに罪はありません。だから、ITベンダーを当てにしないで社長が自らITに取り組めばいいのです。

まずは自分でパソコンを操作し、自分で従業員や顧客とメールでやり取りすればいいのです。さらに、自分でホームページのデザインや構造を考えたり、自社にどのようなシステムが必要かを考えたりするのです。そして、今やそうできない社長が率いる会社は競争に勝つことはできないのです。なぜなら、他の会社がそうしているのですから。


そこで最後に、パソコンが苦手な社長に、パソコンが使えるようになる方法を伝授します。それは、パソコンの基本操作とワープロとメールが使えるようになることです。特に、ワープロが使えなければ始まらないのです。文字が書けないのと同じだからです。

しかし、この当たり前のことができないために、他社に後れを取るなんて馬鹿げています。ワープロはむずかしいことではありません。単純に繰り返し練習するだけです。特別な才能が必要なわけではありません。子供が初めて自転車に乗れるようになるのと同じです。誰もが練習すればできるようになるのです。しかし、習得には個人差があります。そこで、私の実施した効果的な練習方法を紹介します。

実は、私は当初、ひらがな入力で始めたのです。どう考えても、ひらがな入力の方が簡単だと思われたからです。そして、キーボードを見ながら入力する練習をしました。毎日1時間ほど練習しました。練習するに従い、だんだんとスピードアップしていったのですが、3か月ほどたったころからスピードが上がらなくなりました。そこで、タッチタイピング(キーボードを見ないで打つブラインドタッチ)を練習することにしました。

しかし、タッチタイピングを3か月練習しても全くできるようになりませんでした。また、スピードも上がりません。そこで、根本的に入力方法を変えることにしたのです。ひらがな入力ではなく、ローマ字入力に変えることにしたのです。

ひらがな入力の長所は、普段使っている表記なのでなじみやすいことです。しかし、「あいうえお」だけで約50文字(すなわち50キー)を覚えなければならないのです。そのために、キーボードの4列すべてを常時使わなければならないのです。特に1番上の列のキーは非常に打ちにくいし、そのうえ、濁音、半濁音のためにシフトキーを頻繁に使うので操作が複雑になるのです。

それに対して、ローマ字はたったの26文字です。つまり、ローマ字はひらがなの半分覚えればすむのです。ローマ字は小学校の時に学んだだけでほとんど忘れてしまっていますが、濁音、半濁音も慣れてしまえば簡単です。そこで、せっかく覚えたひらがな入力ですが、すべて忘れることにして、ローマ字入力に切り替えました。

体(手)で覚えていることをすべて忘れてから新しく覚えなおすことほど大変なことはありません。約6ヶ月間、ひらがな入力を毎日1時間づつ練習していましたから、ローマ字入力に切り替えても、以前の習慣でどうしてもひらがなのキーを打ってしまいます。そこで、意を決して、キーボードを見てもわからないようにキーに書かれている文字を修正用の白ペンで塗りつぶしてしまいました。

そして、紙に書かれたキーボードの絵をキーボードと画面の中間に置いてそれを見ながら打つ練習をしたのです。こうすると、絵に描いてある文字の位置を手で探りながらキーを打つので、早くキーの位置を手に覚えさせることができます。最初は全くダメですが、しだいに慣れてきます。

ある程度慣れてから、キーボードの白ペンをベンジンできれいに落とし、その代わり風呂敷で手とキーボードを覆ってキーボードが見えないようにしてさらに練習を続けました。というのも文字は手探りでなんとか打つことができますが、記号だけは手探りというわけには行かず、その都度風呂敷を取ってキーを見て打つようにしたからです。

記号まで手に覚えさせるのは難しいのでどうしてもキーを見て打つしかないのです。この方法によって、日を追って確実に上達し、完全にタッチタイピングをマスターすることができました。

そこで皆さんへの提案ですが、必ず最初からローマ字入力にして、手とキーボートを風呂敷(またはスカーフ)で覆ってキーボーが見えないようにし、キーボードが印刷してある紙を見ながら打つ練習をしてください。キーボードを見ないで文字がある程度打てるようになったら風呂敷をはずし、記号を打つ練習をすればよいのです。

なぜこうするのかと言いますと、キーボードをつい見てしまうというのが上達を妨げている原因だからです。もちろん、指の分担はタッチタイピングのルールに従う方が楽に早くできます。このようにすれば、最初は1つ1つ手で探りながらの入力ですが、その後加速度的に上達し、短期間でタッチタイピングが習得できるはずです。

私はローマ字入力に切り替えてから約3か月かかりましたが、最初からローマ字入力していたらもっと早く習得できたと思います。なお、キーボードの文字が見えないようにするために、キーボードカバーを使ってカバーの文字に当たる部分をマジックインクなどで塗ってもいいと思います。

Ⓒ 開発コンサルティング





次ページ  目次