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開発&コンサルティング

第66回 生活習慣病(慢性病)の治し方

花粉症の季節になると、花粉症の人はいやな季節になったと言うが、花粉症ではない人は花粉症の人を気の毒だと思うだけである。医学的には免疫力の弱い人が花粉症になるらしいので、免疫力を強くすれば治るわけである。私は山歩きを趣味にしているが、花粉症を治すために山歩きを始めたという人は多い。そして、いつの間にか治ってしまうようである。おそらく、山歩きをすることによって免疫力が強くなったものと思われる。

医者が処方する薬は、慢性病を治すためではなく症状を緩和するだけである。つまり、根本的な治療にはならない。花粉症を治すために山歩きを始めたという人は、10年以上医者からもらった薬で治療をしてきたが少しも良くならないので、思い切り荒療治してみようと思って山歩きを始めたと言う。

どうも最近の医学は慢性病については治すのではなく症状を緩和するだけのようである。例えば、現代医学では高血圧も糖尿病も、一生治らないものということになっている。しかし、実際には、これらの病気を根本的に治した人たちは大勢いる。医者はそういう人たちの治療法を医学的ではないとして馬鹿にする。しかし、医学的であろうとなかろうと、病気は治ればよいのである。

あらゆる慢性的な病気の治療法がある。これについて書いてみようと思う。どんな慢性的な病気でもその原因は同じである。それは遺伝と生活習慣である。遺伝はどのような病気でもその影響が20%以下ということなので、病気の原因の80%以上が本人の生活習慣である。とすれば、生活習慣を変えればほとんどの慢性病は治るはずである。通常、生活習慣について言われることは食事療法と運動療法である。しかし、これも実は対処療法に過ぎない。なぜなら、食事療法と運動療法というのは、あくまで医学的な治療法だからである。

生活習慣を変えるにはそのような小手先の治療法では治らない。考え方を根本的に変えなければならないのだ。つまり意識改革をしなければいけない。これについて、書くことにする。信じようと信じまいと読者の勝手である。ただ、私は多くの悩める経営者・管理者たちに生活習慣病の治し方を伝えたいだけである。

私の治し方を実行しようがしまいが読者の勝手である。私は医者ではないし、栄養学者でもない。また、信ずるものは救われるというような宗教家でもない。悩める経営者・管理者の味方、経営コンサルタントである。

昔から病は気からと言う。気というものはものすごい力を持っている。火事場の馬鹿力の例にしても、気力によっていろいろな課題を克服したという話は良く聞く。例えば、スポーツの試合でここぞというときに気合を入れて気力を高めてから臨むと、良い結果が得られることを誰もが知っている。また、試験の時に受かりますようにと神様にお願いしても受からないが、絶対に受かるぞと思って試験に臨むと受かる場合が多い。

これらは気力が高まっているために血の流れが良くなって身体や頭脳が働くためであるという。あるいは、自分が病気ではないのに、病気だと思っていると本当に病気になってしまうこともある。また、病気の人が絶対に病気を治すぞと思っていると本当に治ってしまうことがある。さらに、医学的にも証明されていることだが、治療薬ではないもの、例えば小麦粉を薬だと言って飲ませると治ることがある。これを偽薬(プラセボ)効果と言うらしい。こういったことは、誰もが経験していることであろう。それならば、こういった気力を利用して慢性病を治せばよいではないか。

私は昔、仕事の疲れを取るためにヨーガ教室に5年間通ったことがある。この5年間に6人の先生の教室に通ったので、いろいろな考え方や実践方法を学んだ。また、特別授業としてインドのグル(ヨーガの先生)から直接ヨーガの手ほどきを受けたり、インドの大学の先生からアーユルベーダ(インドの医学)を直接教わったりしたこともある。

また、比叡山で阿砂利と共に数日間だけであるが修行したこともあった。東京の高尾山での滝行(2月に滝に打たれる)も経験した。断食道場にも参加した。さらに、栄養学者などの話を聞くこともできた。このようないろいろな経験や学習を通じて、あらゆる病気は治るものであることを確信している。つまり、生活習慣を変えるということは単に食事療法や運動療法ではなく、その根本の考え方を学んで、実践することによって治るのである。

これらの中で誰にでも理解できるであろうと思われることを書くことにする。まず、栄養学者の川島四郎先生から直接話を聞いたことがあるが、この話の内容について書くことにする。この先生は、戦時中に軍医として兵隊の精力を強くするにはどうすれば良いかを研究した人である。敵に勝つためには体力だけでなく精力が重要であると考えたためである。

それで、何をしたかというと、精がつくと言われている食べ物を片っ端から自分で試したという。マムシやスッポンはもちろん、世界中の精力がつくと言われているあらゆる食べ物を取り寄せて試したと言う。その結果、精力が最もつく食べものは豚肉とにんにくをいっしょに食べることだということを発見したと言う。

要するに、ビタミンB₁とアリシンが結合すると最も精力がつくということを発見したのである。我々はテレビなどから、多少、医学的な知識を得ているので、このことについては多くの人が知っているが、このことを世界で初めて発見した人が川島四郎先生なのである。

しかも、その調査方法が尋常ではない。ご自分で世界中の精力がつくと言われている食べ物を食べて、その翌日に自分が射精した精液の量を計ったり、精子の活性度合を顕微鏡で調べた結果だというから実に説得力がある。このように、この先生の偉大さは必ずご自分の身体で試すことである。

川島先生が言うには、先生以外の栄養学者は頭で考えたり動物実験をしたりしてものを言うが、先生はあまり考えずに自分の身体で試してからものを言うから嘘ではないのだと。また、多くの医者や栄養学者は長生きの秘訣と称していろいろなことを言うが、みんな先生より先に死んだ。先生は分からないことは何でも自分の身体に相談するので、長生きするはずだと言う。

私が先生から話を聞いたとき、すでに87歳になっておられたのだが、その年の夏にアフリカのマサイ族といっしょに槍を持ってライオンを追いかけているビデオを見せてくれた。ものすごいパワーだと思った。ところが、残念ながらアフリカでマラリヤにかかったことが原因で92歳で亡くなってしまった。

川島先生は、食べ物というものはすべて生き物であるから、我々は生き物を殺してそれを食べて生きている、と言う。したがって、食べ物を食べる時には「食べ物さんありがとう」という感謝の気持ちと、「命をいただきます」という畏敬の念を忘れてはいけないと言う。そうすれば、食事をする時には必ず帽子を取って、両手を合わせ、頭を下げて、「あなたの命をいただきます」という言葉が自然に出てくるようになると言う。

また、食べ物を大切にするようになるから、食べられるものは何でも食べるようになり、好き嫌いがなくなり、腹いっぱい食べることもなくなると言う。例えば、米は玄米、野菜や果物は皮ごと残さずに食べるようになる。また、川島先生は、食べ物である動物と戦って勝ったらその動物を食べられるが負けたら自分が食べられてしまうから食べられないと言う。

これは、人類が何十万年もの長い間行ってきたことなので、人間はそういう身体になっている。だから、現代でもそうしたほうが身体に良いのだと言う。例えば、牛と戦って勝てる人は牛を食べても良いが、勝てない人は食べてはいけないと言う。要するに、若者は牛を食べてもよいが、年寄りや女・子供は食べてはいけないと言う。自分で捕まえたり採ったりできる食べ物だけを食べるようにしなさいと言う。

次に、ヨーガについて書こうと思うが、ヨーガは修行が必要なので、書いてもよくわからないと思う。そこで、ポイントだけを書くので、各自で実践・修行をしてください。

喩伽をユガまたはヨガと読む人が多いが、これは日本語(漢語)読みで、インドのサンスクリット語の発音ではヨーガである。ヨーガは瞑想と呼吸と体位(ポーズ)の3つから成り立っている。この3つを同時進行的に実施することによって、気力と体力とを高めることができるのである。よくテレビでヨーガ教室の様子を放映しているが、ほとんどは間違っている。なぜなら、これら3つを別々に実施しているからだ。

瞑想は無駄な気を鎮めることから、結果的に気力を高めることができる。深い呼吸は血流を良くして、酸素を体全体に行き渡らせることから、老廃物を排出することができる。また、体位は筋肉の疲れをとると共に使わない筋肉を使うので、相乗効果で筋肉を強くすることができる。これらによって免疫力を高めることができる。そして、結果的に心と体が正常化していくのである。

瞑想するためには、まず、目の周りの筋肉の力を抜いて自然にまぶたが下がり目が半眼になるようにする。意識して目を閉じてはいけない。意識して目を閉じると目の周りの筋肉に力が入ってしまう。そして、体全体の力を抜く。呼吸は深く静かにゆっくりと行う。慣れるに従いゆっくり呼吸できるようになる。吸う時は10秒ぐらいかけて、吐く時は20秒ぐらいかけて行う。

この時の体位は、寝ていても座っていても良いが、出来るだけ体全体の力を抜くようにする。体位はいろいろあるからいろいろと試してみるのが良い。好きな体位だけやるのは良くない。また、必ず、呼吸と体位の変化を同時に行う。吸う時は筋肉を伸ばし、吐く時は筋肉を縮めるのである。ヨーガは体操ではないから、必ずゆっくりと行う。

また、できれば何も身につけずに裸でやるとよい。例えば、夜寝る前に布団を引いてその上でやると良い。瞑想と呼吸と体位の変化とを同時進行で行うことがポイントである。決して、体位の変化だけを行っていけない。必ず、瞑想と呼吸と体位の変化をゆっくりと同時進行で行う。

そして、同時に体や心の変化を観察しながら行う。これを内観と言う。どこの筋肉に効いているか、どこが伸びているか、どこが縮んでいるか、どこが痛いか、呼吸はリズミカルか、変な音はしていないか、胸式呼吸と腹式呼吸を交互に行っているか、胸は膨らんだり縮んだりしているか、横隔膜は上がったり下がったりしているか、気分はどうか、リラックスしているか、何か気になることがあるかなどを観察しながら行う。

少し痛いけれど気持ちいいという感じを心ゆくまで楽しむが良い。ヨーガをやることによって、安らぎを得るだけでなく、しだいに気持ちよくなってくる。そして、少し疲れてきたなと思ったら「死体のポーズ」をとってそのまま死ぬように寝むればよい。

次に断食について書こうと思う。断食は最も直接的に身体に良い影響を与えることが出来る。しかし、3日間以上の断食は指導者が必要であるし、1度や2度の断食では効果がない。なぜなら、必ずと言っていいくらい、リバウンドしてしまうからである。だが、毎週、1日だけの断食ならば、素人でもできる。この習慣をつけると、3ヶ月ぐらいで見事に体が良くなってくる。これは断食をすることにより、頭と体が食べ物の大切さを実感するようになるからである。

したがって、余分なものは食べなくなる。また、身体に必要な栄養素を多く含んだ食べ物はうまいと感じ、そうでないものはまずいと感じるようになる。例えば、太った人は油や炭水化物をまずいと感じるようになり、やせた人はうまいと感じるようになる。野生の動物は食べ物が得られなければ食べられないし、食べ物が豊富にあっても余分に食べないので太らない。つまり、断食をすると野生に帰ることができるのである。

一般に、肉食動物よりも草食動物の方が体が大きいのは、動物よりも植物の方が栄養が豊富にあるからである。また、肉よりも魚の方が、身よりもはらわたの方が栄養が豊富にある。よって、うまいのである。野生の動物を見ると、このことが良くわかる。

例えば、ライオンは獲物を食べる時には必ずはらわたから食べる。カモメが魚を食べる時には、最初に魚の目をつついたり、はらわたをつついたりする。栄養があり、うまいからである。断食をすると人間にとって最もうまい食べ物は肉や魚ではなく植物であり、しかも旬の野菜や果物であることが分かってくる。つまり、肉や魚より米や麦をうまいと思う。また、栄養分を多く含む玄米の方が白米よりもうまいと感じるようになる。そして、旬の野菜をうまいと感じ、旬でない野菜をまずいと感じるようになるのである。

さて、ヨーガにしろ断食にしろ、どのような方法であろうと狙いは1つであると思う。それは自然の本来の身体に戻そうということだと思う。人類が数十万年の間、生活習慣として行ってきたことがここ数十年の間に変わってしまったのである。それを元に戻せばよいのである。できるだけ昔の生活習慣に近い状態にするのである。

例えば、日本人は昔から牛肉は食べない。なぜなら、日本には広い草原がないので野牛がいなかったからである。牛肉を食べるようになったのは明治時代に外国から牛肉が入ってきてからである。だから、日本人の体には牛肉は合わない。

生まれ育った場所で獲れる食べ物を食べなさいと川島先生は言う。外国の食べ物は身体に悪い、日本人が何十万年もの長い間食べてきたものを食べなさいと川島先生は言う。日本は海に囲まれているため魚介類が豊富である。それに国土の70%(私が小学生の時は80%と習った)が山であり、山の食べ物も豊富である。だから、身近にある海の物や山の物を食べなさいと川島先生は言うのである。そうすれば、体が正常化して慢性病が治るのだと。

長い間、人類は狩猟・漁労・採集の生活をしてきたので、捕獲しやすい食べ物を多く食べ、捕獲しにくい食べ物は少ししか食べなかった。したがって、現代においても、植物を多く食べ、魚介類をほどほどに食べ、肉類は少なく食べるようにしなさいと川島先生は言う。米や麦、そば、大豆、芋類、などは植物の種であり、栄養が豊富である。種を絞って作った油(菜種油など)も体にとって必要である。植物の種、野菜、果物など、採集できる食べ物だけで、糖質(炭水化物)、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維の6大栄養素がすべて摂取できると言う。

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