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開発&コンサルティング

第6回 昔から活用されている改善・開発・改革技術は創意工夫すべきである

企業のあらゆる改善・開発・改革に有効な技術に、IE(Industrial Engineering)とVE(Value Engineering)とがあります。どちらも長年活用されてきた技術です。

ところが、近年、これらの技術はもう古いと言ったり、逆に、研究熱心なあまり本来の意義を忘れて枝葉末節にこだわったりして、せっかくの技術が生かされていないように思います。そこで、今回は、これらの技術について筆者なりの基本的な考え方を書いてみたいと思います。

IEの目的は付加価値の向上です。したがって、現状分析をして付加価値を生んでいるものと生んでいないものとを区分し問題点を発見して改善に結びつける技術です。

VEの目的は製品やサービスの顧客価値の向上です。したがって、VEは顧客の立場で製品やサービスの目的と機能(役割、働き)を追及することによって、あるべき姿を描いたり、あるべき姿を再確認して現状とのギャップを発見し改善・開発・改革に結びつける技術です。

つまり、IEは帰納的アプローチの技術であり、VEは演繹的アプローチの技術です。したがって、双方の特徴を生かしたアプローチを取ることによって効果的な改善・開発・改革が可能となります。

IEは当初は生産現場で生まれ、世界中の工場で活用されてきましたが、現在ではあらゆる場面で使われております。

例えば、業務プロセス分析にはIEの工程分析の手法を応用したワークフロー分析が活用されていますし、開発期間を短縮するためのコンカレント分析にはガントチャートやPERT/CPMが使われています。また、業務時間測定や業務処理方法の研究はIEの独壇場と言っても良いと思います。

IEは本来、科学的に管理するための普遍的な道具ですから、あらゆる対象に対して活用できるのです。重要なのは、対象によって新しい考え方や分析手法を創意工夫して問題点を浮き彫りできるようにすることなのです。

昔の方法をそのままの形で使って、IEは古いとか使えないと言っているのは、それこそ、その人の頭が古いのです。すでに100年以上も使われているIEの持つ「科学的に管理する」という考え方はいつの時代にも通用するのです。

一方、VEは価値工学と呼ばれているように、対象の目的と機能(役割)を追及することによって、本来の姿を再確認したり、あるべき姿を描いたりして、対象の持つ価値を高める技術です。したがって、まさに普遍的な技術と言えるでしょう。ところが、VEにも多くの問題点があります。

例えば、あまりにも価値や機能にこだわるために本来の考え方が生かされていないのです。残念なことです。詳しくは次回、書いてみたいと思っております。

IE、VE(VA、VM)、QC(TQC、TQM)など多くの管理技術がありますが、重要なのはどれもその考え方なのです。手法に目を奪われたり、逆にこだわったりして本来の意義を見失ってしまってはならないと思います。

アメリカで考え出されたこれらの手法は日本で花を咲かせたのですから、現代に合った新しい考え方や手法を工夫してもっと活用すべきだと思います。これによって、全く新しい管理技術が生まれるものと思います。

Ⓒ 開発コンサルティング

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