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開発&コンサルティング

第55回 研修・コンサルティングで成果を上げるには

研修・コンサルティングにおいて、成果を上げるためにはどうすれば良いかについてコストダウン(コスト削減)を例に説明いたします。その前に成果の定義を明確にしておきたいと思います。成果とは研修・コンサルティングの目的・目標の達成度です。したがって、成果を上げるためには、

  1. まず、目的・目標を明確にし、その達成度を客観的に評価できるようにすることです。逆に言えば、達成度を客観的に評価できるように目的・目標を設定することです。 企業の目的は一般的には利益の向上にあります。そこで、利益の向上に結びつくようにコンサルティングの目的を設定する必要があります。また、目標はできるだけ定量化します。何%達成できたかが成果となるからです。例えば、コストダウンが目的のコンサルティングであれば、何%コストダウンできたかが成果となります。 一方、企業における研修の目的は単なる知識の習得ではなく、技術やノウハウの習得にあります。よって、目標は実際に習得できたことがわかるような具体例をアウトプットすることです。例えば、コストダウン技術の習得が目的の研修であれば、コストダウン事例が成果となるわけです。
  2. 次に、目的・目標を達成できるように、研修やコンサルティングのプログラム設計を行なう必要があります。目的・目標を達成するための機能(役割)、及びそれらの機能を果たすための具体的方法(作業内容)を検討し決定します。つまり、すべての作業が目的・目標の達成に結びつくように体系的にプログラムを設計します。例えば、コストダウンであれば、前提条件の確認、現状コストの把握、目標コストの設定、構想案の作成、構想案の評価、構想案の実施、コストダウン成果の確認、などが大まかな機能となり、これらをブレイクダウンして詳細な機能(各ステップ)を設定し、さらに各ステップの作業内容及びアウトプットを決めます。
  3. 研修やコンサルティングプログラムを実施するのは、コンサルタントの他にはコストダウンであればプロジェクトチームが行います。その際には管理が必要になります。目標管理、進捗管理、作業管理、などです。これらを行なうのはチームリーダーです。また、これらを確実に実施するためには推進体制(バックアップ体制)が必要です。バックアップ体制は通常、役員からなる推進委員会、研修受講者やプロジェクトメンバーを送り出した部門長からなる実行委員会、それと事務局が必要です。推進委員会は推進上の課題解決に当ります。実行委員会は実行すべき案件の検討を行ない各部門で実施します。事務局は事務処理に当ります。例えば、コストダウンの場合、投資予算の検討などは推進委員会で、マーケットリサーチや試作の実施の検討などは実行委員会で行ないます。
  4. 成果を上げるために最も重要なのは、コンサルタント、研修受講者やプロジェクトメンバー、推進体制の各メンバーなど関係者全員がそれぞれの役割を果たすことです。そのためには、各自の役割を明確にし、役割を果たしているか否かを相互にチェックできるように、作業内容、進捗状況などを記録し関係者に通知することです。コンサルタントの基本的な役割は、目的・目標達成のために必要な具体的な助言や提案を行うことです。コンサルタントは助言や提案に対して責任を負うことになります。その際、コンサルタントは常に支援する立場(いわゆる黒子)に徹しなければなりません。コンサルタントは社外スタッフであり、コンサルタントには指示・命令権はないのです。一方、クライアント企業の役割は、コンサルタントの助言や提案に対し、実施の意思決定を行ない、実施することです。クライアント企業は実施の意思決定および実施に対して責任を負います。実施結果(成果)に対してはコンサルタントとクライアント企業の双方が責任を負うことになります。
  5. 多くの成果を出すには、クライアント企業の技術(固有技術)とコンサルティング技術(改善・開発・改革技術)とを掛け合わせることが必要です。つまり、双方が協力し合い、相乗効果を生むようにしなければなりません。そのためには、常に話し合い、双方が納得のうえで研修やコンサルティングを進めることが重要です。こうすることによって、相互に信頼関係が生まれ、双方が安心して活動を進めることが出来るのです。

最後に、コンサルタントは改善・開発・改革技術を高める努力を常に行なう必要があります。改善・開発・改革技術はコンサルタントの商品ですので、商品の高付加価値化に努力することが常に必要となります。

以上、主に、コストダウンを例に説明いたしました。コストダウンを例に説明したのは、コストダウンは企業の目的である利益の向上に直結し、しかも外部環境などの影響に左右されず企業努力だけで達成できるため、コンサルタントの能力が最も明確にわかるからです。したがって、あらゆる研修・コンサルティングにおいて、以上説明した内容を踏まえて行なえば必ず成果が上がるということになります。

Ⓒ 開発コンサルティング





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