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2014年版中小企業白書は永久保存版です。(2)
第100回 2014年版中小企業白書は永久保存版です。(2)
第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来
第1章 「小規模事業者」の構造分析ー需要開拓こそ最重要課題
- 小規模事業者は、地域需要をターゲットとする「地域需要志向型(約81%)」と、広域需要をターゲットとする「広域需要志向型(約19%)」の二つに類型化。また、組織面での成熟度によって、5段階のステージに分類化。
- 今通常国会で成立した「小規模企業振興基本法」においては、中小企業基本法の基本理念である「成長発展」のみならず、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持等を含む「事業の持続的発展」を位置づけ。
- 今回の白書においても、同法に基づき、組織面で上のステージを目指さずに、同じステージで持続的発展を目指す「維持・充実型」の小規模事業者にも光を当てた構造分析を行う。
- 主な仕入れ先を見てみると、「地域需要志向型」は、8割以上を地域内から仕入れ、地域内に販売するため、地域の資金循環に貢献している小規模事業者。
- 「広域需要志向型」は、約6割を地域内から仕入れ、地域外に販売するため、「外貨」を獲得してくる小規模事業者(≒「コネクターハブ企業」)。
- 地域経済は、このような地域内の資金循環に貢献する「地域型」企業と地域外から「外貨」を獲得してくる「広域型」企業がバランスよく存在することで、成り立っている。
- 小規模事業者の最大の課題は、「需要・販路開拓」。人口減少・過疎化に伴う需要の縮小や、高齢化等に伴う消費者のニーズの変化にどう対応していくかが課題。
- 「地域型」は、地域に古くから根差し、住民のニーズに応じて、財やサービスを提供してきた「顔の見える」小規模事業者。今後、大企業は決して参入できない、住民との信頼関係を活かしたニッチな需要の掘り起こしを目指すべき。
- 「広域型」は、IT技術の進展等を捉まえて、インターネット販売を通じた国内外の販路開拓や自治体等が主導する大企業・中堅企業とのマッチングなど、独自の技術やサービスの強みを活かした広域な需要開拓を目指すべき。
第2章 起業・創業ー新たな担い手の創出
- 近年、起業を希望する者である「起業希望者」が急激に減少(160万台→80万人台へと半減)。一方、起業家数は
大きく変化しておらず、毎年20〜30万人の起業家が一貫して誕生。
- 開業率が低い理由として、以下の3つの課題が見えてくる。
- 起業意識…「教育制度が十分ではない」「安定的な雇用を求める意識高い」「起業を職業として認識しない」
- 起業後の生活・収入の不安定化…「生活が不安定になる不安」「セーフティーネットがない」「再就職が難しい」
- 起業に伴うコストや手続き…「起業に要する金銭的コストが高い」「起業にかかる手続きが煩雑」
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「起業意識」を変革していくためには、起業に関心を持ってもらうべく、義務教育段階から起業家に接するといった起業家教育や、起業はリスクが高いという印象を改め、リスクが低く満足度は高い起業家も多いことを伝えていく。
- 「起業後の生活・収入の安定化」のために、新たなガイドラインが適用された経営者保証制度や小規模企業共済といったセーフティーネットの充実に加え、失業保険の扱いが課題。さらに、兼業・副業をより促進していくことが必要。
- 「起業に伴うコストや手続きの低減」のために、既存企業群が起業家を育てる「誰もが起業家応援社会の構築」や、フランスのような起業すると得する仕組み、先輩起業家や民間支援機関も巻き込んだ相談体制の充実が求められる。
第3章 事業承継・廃業ー次世代へのバトンタッチ
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事業承継の形態は、内部昇格や外部招へい等、親族以外の第三者への承継が占める割合が増加。こうした現状
を踏まえ、今回の白書では、「第三者承継」を取り上げ、分析を行う。
- 後継者の育成には「3年以上必要」と考えている経営者が8割以上だが、60代で6割、70代で5割、80代でも
4割が事業承継の準備ができていない。
- 今後、早い段階からの事業承継の準備に着手してもらうよう、きめ細やかな情報提供や意識付けが必要。
- 近年、休廃業・解散件数が増加。廃業を決断した理由として、「経営者の高齢化や健康問題」を理由とする者が約
5割、「事業の先行き不安」が約1割。
- 廃業に関する相談相手は「家族・親族」が約5割、「誰にも相談していない者」が約3割。今回、これまでほとんど把握
されてこなかった廃業の実態(廃業時の課題、廃業後の生活等)についても分析し、その実態に迫る。
- 第三者承継の支援策としては、外部にまで後継者を求める中小企業・小規模事業者に配慮し、高い事業意欲ある
人材を確保して、後継者ニーズのある企業とマッチングさせるとともに、長期的にフォローアップしていく。
- 廃業対策としては、①廃業に関する基本的な情報提供、②匿名性に配慮した専門家支援(電話相談)、③小規模企
業共済制度のさらなる普及・拡大を図る。
第4章 海外展開ー成功と失敗の要因を探る
- 旺盛な海外需要を取り込むべく、中小企業・小規模事業者も積極的に海外展開を実施。注目すべきことに、輸出未
実施企業のうち、小規模事業者の方が輸出に関心を持っている企業が多い。
- 海外展開を進めるに際して、最大の課題は「販売先の確保」と「信頼できる提携先・アドバイザーの確保」。一方で、
既存の公的な海外展開支援機関の利用状況及びその評価は、必ずしも高くない。
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中小企業・小規模事業者を現地でサポートするため、官民の支援機関でネットワークを構築し、法務・会計・労務、資
金調達、人材確保、パートナー発掘等を支援する「海外展開現地支援プラットフォーム」の強化・拡充を図る。
- 海外展開支援を行っている民間企業は、少なくとも1万社、うち総合的なサポートをする企業は最低2,000社。多様
化する海外展開ニーズに柔軟に応えていくためには、このような民間の海外展開支援企業との連携も進める。
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民間の海外展開支援企業の中には、Webのプラットフォームを活用して、世界の同業者と提携し、日本の中小企業の
海外展示会への出展支援を行う企業もある。
第5章 課題克服の新しい可能性
- ITを活用して外部資源を活用する「クラウドソーシング」は、必要な時に必要な人材を調達する仕組み。クラウ
ドソーシングにより、経営資源の乏しい中小企業・小規模事業者が長年の経営課題を克服できる可能性。
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ITを活用した資金調達(いわゆる「クラウドファンディング」)により、個人が企業に対して直接出資することが可
能になり、様々な理由で金融機関等からの資金調達が困難であった企業の資金調達の可能性が拡大。
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企業の事業を通じて社会的な課題を解決することから生まれる「社会価値」と「企業価値」は両立可能とする
CRSV(Creating and Realizing Shared Value)は、地域に根ざした事業を行う中小企業・小規模事業者の一つ
の「生きる道」にもつながる。
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中小企業・小規模事業者の事業を通じた地域課題の解決は、地域活性化という「社会価値」を創造するととも
に、その恩恵を受けた地域住民の所得向上等をもたらす。さらに、そのことが地域における新たな顧客創出や
需要創造をもたらし、企業利益の増大という「企業価値」の創造にもつながる「好循環」を生み出す。そのため
の取組こそ持続的な事業活動を実現するというCRSVの鍵 となる。
※なお、米国経営学者マイケル・ポーターは、2011年にこの考え方をCSV (Creating Shared Value)と称している。
第4部 中小企業・小規模事業者の支援の在り方
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中小企業385万者に施策を着実に届けていくためには、国・都道府県・市区町村の連携が不可欠。しかしながら、国・都道府県・市区町村の連携がうまくいっていないのが現状。
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一方で、①ホップステップ型、②棲み分け型、③一体支援型、といった、それぞれの役割分担を踏まえた上で、具体的な連携を進めている自治体もある。
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これらの連携を促進するべく、「施策マップ」の構築に加え、国は、都道府県・市区町村に、早期かつ積極的に説明に行く。
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中小企業・小規模事業者の観点から、国・都道府県・市区町村の施策を目的や分野、必要金額等に応じて、
「ぐるなび」のように検索でき、かつ、比較・一覧できるシステム(「施策マップ」)を構築する。
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「価格.com」のように比較できる「比較画面」と、A3サイズで印刷して一覧できる「一覧画面」で構成される。
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中小企業庁の施策のみならず、総務省、厚生労働省、農林水産省、観光庁など他省庁の中小企業向け施策
も見ることができる。
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385万者の中小企業を支援していくためには、行政のみならず、認定支援機関をはじめとする、中小企業支援機関の役割も重要。しかしながら、中小企業支援機関単独では、多様な支援ニーズに対応することは難しく、中小企業支援機関同士の連携が重要。
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とりわけ、税・法務関係の中小企業支援機関は、他の中小企業支援機関と十分な連携が取れていないことが課題。
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地域の金融機関が、税理士を税・法務関係の専門家として、中小企業支援に巻き込むことで、実現可能性の
高い経営改善計画の策定を可能とした事例あり。
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中小企業からの経営相談に対して、自治体と中小企業支援機関が連携してワンストップで対応するなど、
魅力的な支援体制を構築している事例も存在。
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全国津々浦々の市区町村においては、商工会・商工会議所が地域の中核(「かかりつけ医」)として、中小企業・小規模事業者に寄り添う「伴走型」の支援を実施。
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中小企業・小規模事業者に対する支援体制をより一層強化するため、本年6月に、全国47都道府県に「よろず支援拠点」を設置。主として、以下の3つの機能を有する。
- 既存の支援機関では十分に解決できない経営相談に対する「総合的・先進的経営アドバイス」
- 事業者の課題に応じた適切な「チームの編成を通じた支援」
- 「的確な支援機関等の紹介」(ワンストップサービス)
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さらに、関係省庁や自治体、公的支援機関等の施策を熟知した上で、どの施策をどう使うべきか、相談者に応じた適切なアドバイスを与える。
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中小企業・小規模事業者の約5~6割が国の中小企業施策情報の入手先は不明確としている。そして、約5割は実際に施策情報を入手していない。また、実際に施策の活用まで至るのは約1割に過ぎないが、活用した者の約7割は評価している。
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国の中小企業施策情報の入手先として、支援機関や市区町村への期待が高い。このため、今後、都道府県向けのみならず、市区町村や支援機関向けのface to faceの施策説明会を、早期かつ積極的に実施する。
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国の中小企業施策情報は、情報量は「少なすぎる」が約4割。タイミングは「タイムリーでない」が約5割、わかりやすさは「わかりにくい」が約5割。
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このため、「施策マップ」やメルマガの充実に加え、施策を企画立案した担当者が、施策立案の背景や想いを込めて、わかりやすく説明する動画を、中小企業庁のポータルサイト「ミラサポ」上に掲載する。
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民間調査会社が保有する膨大な企業間取引データを活用し、地域経済における産業構造の実態を空間的かつ時
系列的に把握し、国、地方自治体による地域産業政策や地域活性化政策の立案を支援するシステムを開発する。
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地域経済に資金を域外から調達し、域内に配分している企業を「コネクターハブ企業(地域中核企業)」という。本システムでこのコネクターハブ企業を抽出することで、国や地方自治体等の効果的な政策資源投入につなげる。
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