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開発&コンサルティング

序 売上拡大・売上増大について

「あなたはタバコを吸っていますか? あなたは太っていますか? あなたは宝くじをよく買いますか?」これらの質問にイエスと答えた人は、アメリカでは経営者として失格とみなされるそうです。

その理由はお分かりでしょう。企業で最も重要な経営資源は経営者ですが、その経営者がいつ病気になるかわからないようでは、その企業と安心して取引できないからです。経営者は常に健康に気をつけなければなりません。

また、宝くじをよく買う経営者は、他力本願で一攫千金を望んでいるわけですから、本業をしっかりと行わない傾向があるということです。いずれにしてもこれらの人は経営者として失格であるということです。

実際問題として、定期的に健康診断を受けて、健康を維持するために常に努力をしている経営者でなければ企業経営はできません。まして、健康に悪いと知っていながら直そうとしないのではどうしようもありません。

なぜなら、企業も全く同じだからです。企業も常に自己診断をして、問題を発見し、問題解決する努力をする必要があるのです。また、売上が減ったのは景気が悪いからとか、取引先の業績が悪いからなどと他力本願ではまともな経営などできないのです。

ところで、 ここ数年、日本の企業の70%以上が赤字であるという状況が続いております。将来のために設備投資をして赤字になっているという企業もありますが、業績不振で赤字になっている企業が圧倒的に多いのです。そして、赤字の原因のほとんどがいわゆる「放漫経営」なのです。

「そんな馬鹿な! 我が社は断じて放漫経営などではない、経営環境が悪いだけだ! 原料高になっているし、不況で消費者の購買意欲が落ち込んでいるし・・・」などとおっしゃる経営者が多いと思います。しかし、これこそが放漫経営なのです。

つまり、放漫経営とは業績が悪いのを外部環境が悪いからだと考えるのが特徴なのです。つまり他力本願であり、自助努力しないために業績が悪化しているのです。やるべきことをやっていないのが放漫経営なのです。

外部環境が悪いのは、全ての企業に共通のことです。あなたの会社だけの問題ではありません。同じ環境にいて業績の良い企業と悪い企業とがあるということは、やはり自助努力の差なのです。努力しているがうまくいかないという企業も考え直す必要があるのです。

では、何をどのように努力すればよいかですが、ひと言で言えば「顧客の欲求、ニーズに応える努力」です。この当たり前のことを徹底して行うことなのです。たとえ、どんなに優れた商品やサービスを提供していても顧客がそれを望まないのであればムダな努力なのです。

そこで、まず必要なのが、いかにして顧客の欲求やニーズを掴むかです。次に必要なのが、顧客の欲求やニーズを満たす商品やサービスをいかにして企画開発するかです。そして、いかにしてこれらを顧客に提供するかです。

これらを実行するには準備が必要です。顧客の欲求やニーズを掴むといっても、まず、どのような顧客を対象にするかを決めなければいけません。つまり、標的となる市場(顧客)を決めることです。その上で、どのようにして市場(顧客)の欲求やニーズを把握し、その欲求やニーズを満たす商品やサービスをいかにして企画開発し、いかに提供するかを決めます。

このことを事業領域を決めると言います。つまり、競合する企業と戦う領域を決めることです。ボクシングで言えばリング、相撲で言えば土俵です。なぜなら、現在では敵がいない領域などほとんどないからです。

したがって、戦って勝てる領域を決めなければなりません。そのためには、自社の内部や外部の環境をよく調べる必要があります。つまり、自社が現在扱っている商品やサービスを改めて見直したり、どのような競合企業や仕入先・販売先があるのか、どのような顧客がいるのかなどについて再確認してよく検討する必要があります。これらを検討することを環境分析といいます。自社の置かれている環境を分析するわけです。

どのように分析するのかと言いますと、一般に、自社の内部環境については、人・物・金・技術・情報・文化など経営資源についての強みと弱み、自社の外部環境については、業績を悪化させる脅威となるものは何か、業績を良くする機会(チャンス)となるものは何かなどを明確にすることです。

このような当たり前のことを行っていない企業が非常に多いです。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」のことわざは誰もが知っているはずですが、実行していないのです。実際に、社長に「御社の経営資源における強みと弱み、外部環境における脅威とチャンスは何ですか」と質問しても答えられない社長が多いです。

以上のことから、まず、自社の環境(内部と外部)を分析します。次に、事業領域(標的市場、顧客欲求やニーズ、商品・サービス、提供方法)を決めます。そして、戦い方、すなわち戦略を決めます。なお、事業領域を決めることも戦略となります。

さて、自社の環境を分析したり事業領域を決めたりするためには、まず、商品の流通構造を知らなければなりません。なぜなら、商品を企画開発したり製造したり流通させたりする、その全体の構造が分からなければ企業がどのように活動すればよいか分からないからです。

そこで、第1章は商品流通構造について、第2章は経営戦略・事業戦略について、第3章はマーケティング戦略について、という具合に順に解説していきます。また、売上拡大・売上増大に必要な業務改革・経営改革や新事業開発・新分野進出についても順次解説いたします。

なお、サービスには流通はありませんので、第1章の商品流通構造は文字通り商品の流通構造について解説いたします。よって、サービス業の方は第2章以下を参照ください。なお、商品開発については商品開発・製品開発を参照ください。

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