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開発&コンサルティング

第45回 今こそ変革しないと企業は生き残れない

平成10年版中小企業白書は、平成9年版の内容とほとんど変わっておりません。しかし、言いたいことがより鮮明になっていると言えるでしょう。つまり、その副題に、「変革を迫られる中小企業と企業家精神の発揮」とあるように、中小企業は変革を迫られているのです。そして変革するには、企業家精神を発揮しなければならないと言っているのです。別の言い方をすれば、変革しなければ生き残れませんよ、と言っているのです。

では、具体的に何をしろと言っているのかというと、9年版と10年版とに書いてあることを私なりにまとめると、

  1. 独自技術や企画開発力を持ち、下請けから脱しなさい。
  2. 新技術開発・新製品開発をしなさい。
  3. 新分野に進出しなさい。
  4. 事業の転換を図りなさい。

などです。リスクを恐れているばあいではないですよ、バタバタ倒産しているのですよ、と言っているのです(言い方はもっとやさしいですが)。

そして、このような変革をするには、

1.優位性ある核(コア)となる経営資源(コアコンピタンス)を涵養しなさい。経営力を強化しなさい。
2.戦略的な連携を図りなさい。ネットワークを活用し、異業種交流、産学協同などを行いなさい。
3.変化への即応性を高めなさい。

と言っています。

また、政府はそういう自助努力をする企業を支援します、と言っています。以上が白書で言っていることです。

ところが、実際には、政府は赤字会社やこれから自助努力しようとする企業には支援しません。補助金は絶対に出しません。すでに自助努力をして儲かっている会社に対してだけ補助金を出すのです。このところを勘違いしないようにしてください。これから自助努力しようとしている企業にではなく、すでに自助努力した企業を支援し、より努力してもらおうとしているのです。

補助金が出たら努力しようか、などと考えている会社には絶対に補助金は出さないのです。まあ早い話が、やる気のない会社や力のない会社はつぶれた方が良い、と政府は考えているのです。当然ですけれどね。税金を使って補助金を出すんですから。

ずっと以前から分かっていたはずです。いつかはやらなければいけない、ということを。実はすでに66%の中小企業が、新製品開発や新分野進出が必要だと自覚しているのです。しかし、自覚はしていてもやっていません。今こそやって下さい。やらなければ生き残れないのですから。

何をどうやればいいんだ、ですか。ではお答えします。まず、SWOT分析というのをやってください。つまり、あなたの会社の強み(S)と弱み(W)、あなたの会社にとって機会(O)となるものと脅威(T)となるものとを整理します。そして、

  1. 強みをより強くするには
  2. 弱みを強みに変えるには
  3. 脅威となるものをなくすには
  4. 機会を生かすには

という4つのことについて社員で喧喧諤諤(けんけんがくがく)よく議論をしてまとめてください。そして、課題をリストアップしてください。

そのうえで、その1つ1つの課題について、より具体的に検討して解決を図ってください。これが経営力の強化になります。その際に、いろいろな企業や大学、研究所などとギブ・アンド・テイクで協力関係を結びなさい。これは戦略的連携を図ることです。大学や研究所なんか行ったことがないかもしれません。

数年前から大学や研究所自体が生き残りのために、企業との共同開発を望んでいるのです。歓迎されますから気軽に訪ねてみて下さい。また、従業員が数人の会社でも数百人の会社でもまったく関係ありません。研究内容に興味があれば飛びついてくるでしょう。白書でもそう言っているのですから。

Ⓒ 開発コンサルティング





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