利益を2倍にする方法を考えて見ましょう。
と仮定すると、コストを90億円のままにして、売上を10%アップの110億円にすれば、利益は2倍の20億円になります。しかし、コストをそのままにして売上を上げるのは至難の業です。売上を上げるためには、価格を上げるか販売数量を増やすかのどちらかですが、価格を上げることは、簡単にはできません。なぜなら、競合他社との価格競争や顧客の購買力などが影響するからです。
そこで、価格はそのままにして販売数量を増やさなければなりませんが、このためには広告宣伝費や販売促進費などが必要となり、結局、コストアップとなってしまいます。すると、たとえ売上が上がっても利益はあまり変わらないとか、下手をすると、利益が以前より減ってしまい、くたびれ儲けということになってしまう場合もあります。
また、いわゆる薄利多売により、価格を下げて販売数量を増やし、売上を上げる方法は、簡単なようで簡単ではありません。なぜなら、価格の弾力性(価格をいくら下げると販売数量がどのくらい増えるか)や、他社との競合関係などを考慮しないと危険であり、成功するとは限らないからです。
なぜなら、価格を下げると、通常、競合他社も価格を下げてくるので、結局、価格競争となってしまうからです。さらに、商品のブランド価値が低下して、よりいっそう価格を下げなければ売れなくなってしまう恐れもあります。
さて、単純に、利益を2倍の20億円にするためには、(1)式の両辺を2倍にすればよいわけですから、
となります。しかし、こちらの方がもっとたいへんです。売上を2倍にするというのは、単純に考えれば顧客は2倍必要、工場や店舗も2倍必要、従業員も2倍必要ということになりますから、簡単にできることではありません。
ところが、(1)式において、売上は100億円のままで、コストを10%下げて81億円にすると、利益が19億円でほぼ2倍になるのです。
では、次の場合はどうでしょう。
と、仮定した場合には、コストを10%下げて85.5億円にすると、利益が14.5億円で、なんと、ほぼ3倍の利益になるのです。
そのうえ、コスト削減は売上を増やすよりも比較的簡単にできるのです。なぜなら、競合他社との競争や顧客の購買力などとは関係なく、自社の努力だけでできるからです。よって、儲けるためにはコスト削減技術が絶対に必要となるのです。
「そんなことは分かっている!」ですか。しかし、分かっていない企業が多いのです。なぜなら、多くの企業では、利益の増大ではなく、売上の増大が経営計画の第一の目標になっているのですから。売上さえ増やせば利益も自然に増えると勘違いしているのです。
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