
丹沢ではシカによく出会う。シカは少し離れていても獣の臭いがするので、近くにシカがいることが分かる。よって、風上を探せば見つけることができる。丹沢のシカは人間に出会っても、すぐに逃げたりはしない。少し離れた所でじっとこちらを見ている。
食べ物をもらえないかと思っているのだろう。実際に、ポケットから食べ物を取り出そうとすると寄ってくる。丹沢のシカはハイカーに餌付けされてしまっているのだろう。
しかし、シカに食べ物を与えてはいけない。人間を恐れるようにしなければいけないのだ。シカが増えているうえ、シカによる林業や農業の被害が増えているからである。
シカは食べ物をもらえそうもないと分かると、ゆっくりと去っていく。去っていく後ろから、「こっち向いてホイ!」と声をかけると、立ち止まって、こっちを向く。何か用か? 何かくれるのか? と言っているような顔をしてこっちを向く。
シカの体は茶褐色なので、葉が枯れて山全体が茶褐色になる秋には、どこにシカがいるのかよく分からない。しかし、シカが去って行くときには白い尻をこちらに向けるので良く分かる。そこを、「こっち向いてホイ!」で立ち止まらせて、顔をこっちに向けさせる。
すると、白い尻と顔をこっちに向けたまま、しばらく立ち止まって、不思議そうな眼をしてこちらを見る。数匹の集団の場合も同じである。「こっち向いてホイ!」でシカの集団が一斉に立ち止まってこっちを向く。面白いので、私はシカに出会った時には必ず「こっち向いてホイ!」をやる。
シカに「ホイ!」と声をかけると、立ち止まってこっちを向く、という習性は、昔、猟師から聞いた。猟師はシカ狩りの時に、シカを見つけると、「ホイ!」と声をかけてシカを立ち止まらせる。そして、撃つ。
最近、全国でシカが森や畑を荒らし、大変な被害をもたらしていると言う。山ではシカが木の皮を食べてしまうので、木が枯れてしまう。また、せっかく植えた木の苗を食べてしまう。すると、木が育たない。山に木が少なくなると、水を貯えることができなくなるので、台風の時などに、あちらこちらで土砂崩れが発生する。すると、禿山になってしまう。
最近、丹沢でも禿山が増えている。そこで、シカよけの柵が山全体に設置されている。ハイキングコースにも柵が設置されているので、柵を開けたり閉めたりしながら山歩きをしなければならない。
私が中高生の頃は、丹沢のシカは山奥にいて、めったにハイカーと出会うことはなかった。近くにいてもシカの方から逃げて行った。また、それほど多くはいなかった。なぜこんなに増えたのだろうか。ハイカーが餌付けしてしまったからに違いない。
ハイカーが食べ物の残りを山に捨ててしまう。それをシカが食べ、味を覚えてしまったのだろう。そのうえ、シカが寄って来ればかわいいので、ハイカーはシカに餌をあげたくなる。実際に、シカに餌をあげている人たちを時々見かける。その結果、シカが増えた。
シカを駆除しようとしても、猟師が高齢化で少なくなったため、シカがますます増えるという。私は学生時代に狩猟免許を取って、時々キジを獲って食べていた。そこでまた、狩猟免許を取って、シカを獲って食べたいと思うが、自宅近くにはシカはいない。
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