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開発&コンサル手イング

第59回 夏の低山歩きは異常にのどが渇く

暑い夏の日、西丹沢箒沢から檜洞丸に登った。西丹沢の夏はいい。沢がいくつもあって、きれいな水が流れている。沢では大勢の子供たちが、キャッキャ、キャッキャ言いながら水遊びをしている。中学生のころ、夏休みにクラスメートとこの沢で遊んだことが思い出される。

箒沢公園前のバス停で降り、目の前の橋を渡るとキャンプ場に出る。いくつもあるバンガローの間を通り抜けると小さな沢に出る。沢沿いに登る。汗が顔からポタポタと足元に落ちる。しばらく登ってから、登ってきた道を振り返って見ると、汗が落ちた跡が点々と続いている。のどが渇くと、塩飴をなめながら水をガバガバ飲む。熱中症対策は万全だ。

夏の低山はとにかく暑い。暑いなんてものではない。むしろ熱い。体が熱いのだ。外気温が30度でも体感温度はおそらく40度ぐらいになっているだろう。体が熱いときの体感温度はどう測れば良いのだ。頭がくらくらする。足元がふらつく。ときどき気が遠くなりそうになる。しかし、どういうわけかこれが快感でもある。ランナーズハイならぬ、クライマーズハイか。

しばらく登ると、汗をぬぐうタオルがびっしょり濡れる。そこで、タオルを絞る。また、しばらく登るとタオルがびっしょり。また、絞る。これの繰り返しである。濡れたタオルをずっと使っているので、乾いたタオルに交換した。濡れたタオルはポリ袋に入れてザックにしまった。

少し休憩して、また、登る。するとまた汗をかく。汗をぬぐうとタオルが濡れる。そしてタオルを絞る。こんなことなら、タオルを取り換えなければ良かったと思った。

標高が少しずつ高くなると、汗もあまりかかなくなる。そして少し寒くなる。体を見ると、まるでどしゃ降りの雨の中を歩いたかのように、汗でびっしょり濡れている。これでは風邪を引くと思い、着替えることにする。濡れたTシャツはポリ袋に入れてザックにしまう。また登る。今度は快適だ。汗もあまり出ないし、体も暖かい。

ようやく頂上に着いた。しかし、あまりにも時間がかかってしまった。地図には、登山口の箒沢公園橋から石棚山を経由して、頂上の檜洞丸までのコースタイムは合計で3時間35分と書いてある。しかし、4時間20分もかかった。

休憩時間を考慮してもかかり過ぎである。おそらく、地図に書かれているこのコースタイムは間違っていると思う。丹沢の他のコースは私が歩いた時間とそう変わらないからだ。時々こういうことがある。コースタイムはあくまで参考にすぎないが、こんなに違うとはあまりにもひどい。

弁当を食べる前に、お湯を沸かしてお茶を飲もうとペットボトルを見たら、ほとんど水が残っていない。お湯を沸かすには足りないので、予備のペットボトルをザックから取り出そうとした。すると、いつの間にか、予備のペットボトルもカラになっていた。

予備の水を含めて、500mlのペットボトルを5本ザックに入れてきた。それをほとんど飲んでしまったのだ。わずかに残った水を飲みながら弁当を食べ、急いで下山することにした。

地図を見ると、登って来たルートとは別のルート(ツツジ新道)を1時間30分ほど下れば、ゴーラ沢出合に出るのが分かった。ここで沢の水が飲める。そう思うと少し気が楽になった。このコースは鎖もあり急坂なので、気を付けなければいけない。あわてずにゆっくりと下る。しかし、30分ほど下ると、のどが渇いて水を飲みたくなる。

だが、水はない。我慢するしかないのだ。でも、どういうわけか、我慢できないほどのどが渇く。なぜ、こんなにのどが渇くのか。少し異常だ。気持ちの問題なのか。それとも、本当に体がそれほど水を必要としているのか。

ポケットの中に手を入れると塩飴が少し残っていた。これだ。これが異常にのどが渇く原因だ。塩分を取り過ぎたのだ。水が欲しい。歩きながら足元に生えている草の葉をちぎっては口に入れた。みずみずしい葉を見つけると、ちぎって口いっぱいにほお張った。昔、中学時代に校内マラソン大会で道端の草の葉をちぎっては口に入れたことを思い出した。

そうだ、ザックの中に汗で濡れたタオルがある。ザックから取り出して、口に含んだ。そして、チューチューと吸った。実に旨い。なんて旨いのか。タオルをしゃぶりつくすと、少しだけだが渇きが癒された。少し歩くと、また、のどが渇く。

水はまだあるぞ。濡れたTシャツがある。ザックから取り出し、Tシャツをしゃぶった。Tシャツをしゃぶりながら下山を続けた。途中で人に出会った。Tシャツを口にくわえ、ぶら下げている私を見て、おかしなやつだと思ったに違いない。

沢の水の音が聞こえてきた。もうすぐだ。もうすぐ水が飲める。走るように下った。ようやく、沢に出た。ザックを放り投げ、腕立て伏せの姿勢で流れに口をつけて、ごくごく飲んだ。しばらく顔を上げずに、ごくごく飲んだ。1リットルぐらいは飲んだかと思う。

ようやく落ち着いたのでお湯を沸かし、コーヒーを入れてゆっくり飲んだ。そして、腰を上げて西丹沢自然教室のバス停までゆっくりと歩いた。また来よう。次回は塩飴と水ではなく、スポーツドリンクにしよう。

夕日が山の端に沈む。沢のそこかしこでカジカガエルが鳴いている。美しい鳴き声が山に響き渡る。

Ⓒ 開発コンサルティング

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