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第57回 紅葉がきれいになる条件

「第5回 涸沢の紅葉を追って」で、北アルプスの涸沢の紅葉が日本一きれいであることを書いた。今回は、涸沢に限らず、そもそも紅葉がきれいになる条件について書いてみようと思う。

紅葉がきれいになる条件は、温度差と日光と湿度が必要なのだそうだ。私は専門家ではないので、紅葉のメカニズムについてはよく分からないが、専門家の意見と私の経験を基に書いてみようと思う。紅葉がきれいになる条件は、

  1. 何と言っても温度差が大きいことだ。

    つまり、急激に温度が下がることによって、きれいに色づくのだ。具体的には、(1)標高が高い山ほど温度差が大きい、(2)海に近いところよりも、内陸部の方が温度差が大きい、(3)平野部よりも盆地の方が温度差が大きい。(4)夏が冷夏の年よりも猛暑の年の方が夏と秋の温度差が大きい、などである。

  2. 日光が十分にあることだ。

    日光がないと光合成ができない。すると、アントシアニンという物質ができないそうだ。そして、アントシアニンができないと紅葉しないそうだ。実際に日当たりの良いところはきれいに紅葉するが、日当たりが悪いところではあまりきれいに紅葉しない。

  3. 湿度が適度にあることだ。

    温度差と日光があっても、湿度が適度になければきれいにはならないそうだ。一般に、山間部は平野部より雨が多いだけでなく、ガス(霧)も多い。よって、山間部の方が、平野部よりきれいになる。

  4. 台風の襲来が少ないことだ。

    強風で葉を落としてしまうだけでなく、台風は南の海で発生し、海上を通過して来るので塩を含んでおり、葉が枯れてしまうからだ。

  5. 紅葉する前に大雪が降らないことだ。

    夏の高気圧(小笠原気団)が弱く、秋の高気圧(シベリア気団)が強いと、秋の高気圧が早く日本に張り出してきて、大雪を降らせてしまうので、紅葉する前に葉が枯れてしまうのである。

  6. そもそも紅葉する木々が多いことだ。

    赤く染まるイロハモミジ、ナナカマドなどや黄色く染まるダケカンバ、シラカンバ(白樺)、イタヤカエデなどが欲しい。また、里山ではウルシ、ツツジ、柿の葉なども赤くなる。街の銀杏もきれいな黄色になる。

  7. やはり絵になるような景色が欲しい。

    いくら、紅葉がきれいだと言っても、周囲の景色がきれいでなければ、紅葉も引き立たない。

以上の条件を考慮すると、きれいな紅葉に出会うのは容易ではない。遠くまで行かなければならなかったり、山に登らなければならなかったりする。旅行や山登りが好きな人は良いが、多くの人はできるだけ近場で、しかも交通の便の良い所に行こうとする。

そのため、近場の多くの観光地では、人集めのためにモミジやイチョウをたくさん植えている。例えば、箱根や高尾山では、モミジやイチョウがたくさん植えられている。

したがって、このような観光地は紅葉の季節には非常に混む。特に箱根は休日はもちろん、平日でも非常に混む。バスや車で出かけると、いつもは1時間程度で行ける所が5時間以上もかかる。紅葉シーズンの箱根の混み具合はハンパではない。

箱根登山鉄道で行くのも止めた方がいい。湯本駅では構内への入場制限を行うので、電車が湯本に到着してもドアがすぐには開かず、ホームに降りることもできない。したがって、電車も動かなくなってしまう。

そこで、山歩きの好きな私は、大雄山鉄道の終点からバスで動了尊に行き、明神岳に登る。又は、矢倉沢までバスで行って矢倉岳に登る。又は、地蔵堂までバスで行って金時山に登る。あるいは、御殿場線の足柄駅から足柄峠や金時山に登る。その後、紅葉を見ながら山歩きを楽しむ。

ところで昔から、神社ではイチョウが、寺院ではモミジがよく植えられている。神社とイチョウ、寺院とモミジには何か関係がありそうだ。もしかすると、色が関係しているのかも知れない。神社の赤い建物と黄色いイチョウのコントラストは美しい。また、寺院の緑の苔と赤いモミジは補色関係にある。そのため、苔の上に散った赤いモミジも美しい。

日本人は平安時代から紅葉を楽しむ習慣があったそうだから、おそらく、神社や寺院に紅葉する木を植えれば、人が集まると考えたのではないだろうか。このため、神社や寺院への参拝が、紅葉狩りと結びついたものと思われる。

京都は盆地だから温度差が大きいので、モミジやイチョウがきれいに色づく。そのため、京都の神社や寺院では人集めのためにモミジやイチョウをたくさん植えたのだろう。その一方で、残念ながら、鎌倉は海に近いために温度差は小さい。また、塩を含んだ潮風で葉が枯れてしまい、紅葉があまりきれいにはならない。

そこで、海の近くに住んでいる人たちのために、モミジやイチョウをきれいに紅葉させる方法を紹介する。毎日夕方に水をかけるのである。理由はお分かりだろう。昼と夜の温度差を大きくすると共に、湿度を高めるためである。また、台風や潮風で葉についてしまった塩を落とすためでもある。1日1回だけ、夕方に水をかけるのである。

1日に何度もかけるとかえって逆効果となる。その理由もお分かりだろう。温度差が小さくなってしまうからである。また、水をかけるのは夕方でなければならない。その理由も昼と夜の温度差を大きくするためである。

盆栽でモミジの木を育てている人たちも、夕方に水をかけているそうだ。ところが、ある人が温度差をより大きくしようとして、氷水を霧吹きで毎日かけたところ、葉が枯れてしまったという。何事もやり過ぎはいけない。

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