
初心者が山歩きをしてみたいと思ったときに、どうするかと言うと、通常、登山の入門書や解説書などを読んで、必要な装備を購入する。ちなみに、最近では装備のレンタルなどもある。そのうえで、
グループ山行の場合は友人・知人とは言っても、登山の技術・経験がどの程度かはお互いによく分からない。また、集団山行の場合にも、どこの誰が参加するか分からないから、お互いに登山技術・経験がどの程度なのかは分からない。
◯◯山岳会や◯◯ハイキングクラブなどに入会して、定期的に講習会、あるいは登山訓練を行っていれば、メンバーは互いに登山技術や経験、あるいは体力や性格などが分かるであろう。そうすれば、事故の予防もできるし、たとえ事故が起きても対処できるだろう。
しかし、友人・知人のグループで山歩きをする場合や、集団山行に参加する場合にはどうだろうか。たとえ、リーダーがいても、リーダーはメンバーの登山技術・経験が分からないわけだから、リーダーとしての役割が果たせない。せいぜい道の案内役であろう。
要するに、観光旅行のガイドと変わらない。これでは事故の予防もできないし、事故が起きても対処できない。 ところが、多くの初心者は、友人・知人のグループで山に行ったり、誰もが参加できる集団山行に参加したりしている。その理由は主に2つある。
1つは、山歩きをしたくても山の知識や経験がないので、1人で行くのは危険だからである。山で怪我をしたり、遭難したりしたくないのである。もう1つは、大勢で行った方が楽しいし、何かあっても誰かが助けてくれるので安全・安心だと思うからである。
昔は山岳会やハイキングクラブなどが身近にいろいろあったので、自分に合っていそうな山岳会やハイキングクラブに入会して、登山技術を習得するのが一般的だった。
例えば、ほとんどの高校や大学、あるいは会社には、山岳部やワンダーフォーゲル部、ハイキングクラブなどがあった。その他に、勤労者(サラリーマン)のための勤労者山岳会があって、その支部が各地にもあった。また、市町村や県単位でも住民が入会できる山岳部やハイキングクラブがあった。さらにまた、山用品店でもお客様のための山岳会があった。
しかし、最近ではこういったものが少なくなってしまった。しだいに、山歩きをする人が少なくなってしまったからだ。ところが最近、また山歩きする人が多くなった。しかし、身近に山岳会などがないため、多くの人は登山技術を習得する機会がないのである。それで、しかたなく、友人・知人のグループで山歩きをしたり、募集している集団山行に参加したりしているのだと思う。
以前は、神奈川県山岳連盟が主管していた登山訓練所が神奈川県の丹沢にあったのだが、現在は閉鎖されている。富山県には現在でもあるそうだ。丹沢の訓練所では登山の基礎から岩登り、沢登り、八ヶ岳での冬山訓練などについて、講習と実地訓練を行っていた。
しかも、費用は食費・宿泊費やテキスト代などの実費だけである。授業料やガイド料は無料だった。さらに、参加者は必ず訓練所で講習を受けてから、山で実地訓練を行う、というようになっていたので、効果的な訓練ができた。このような登山訓練所の講習会や実地訓練に参加すれば、ベテランからいろいろな登山技術を効果的に教えてもらえることができた。
現在では、旅行会社などが山行計画を立てて一般の人を募集し、ベテランが登山ガイドとして案内をしている。また、登山技術も教えてくれる。しかし、ガイド料金が高いので、高山に行くときとか、冬山に行くときとか、海外の山へ行くとき以外はあまり利用されていないようだ。つまり、スリーシーズンの低山歩きに、わざわざ高いガイド料金を払って参加する人はあまりいない。
ではどうすれば良いか。私は、最初から1人で、あるいは気心知れた友人・知人のグループで行くことを勧める。なぜなら、その方が早く登山技術を習得できるからだ。ただし、最初は多くの人が行く観光地並みの低山歩きを行うのが良いと思う。道に迷うことがなく、危険な場所もなく、また、もし怪我をしても対処できるからである。
例えば、東京ならば高尾山、神奈川県ならば箱根山などである。このような、小学生が遠足に行くような山は日本のどこにでもある。そもそも、日本の国土は約70%(私が中学生のときは80%以上)が山なのである。
登山技術を習得するには1人で歩く方が良いが、初心者のうちは1人だと心細いので、気心知れた友人・知人で助け合いながら歩けば良いと思う。初心者向けのコースに物足りなさを感じたら、地図に赤線で書かれている一般コースで、しかも人が大勢歩くコースをお勧めする。そして、スリーシーズンの低山から夏の高山へ、次に冬の低山へ、そして春・秋の高山へという具合に経験を積んでいけば良いと思う。
なぜ1人だと、早く登山技術を習得できるのかと言うと、頼る人がいないので、それだけ真剣になるからである。どのような装備や技術が必要かを事前に本で読んだり、登山用品店で聞いたりする。また、実際に山へ行くときには、地図を良く見て自分でルートを決め、頭の中でシミュレーションする。1人で計画を立て、実行すると充実感が得られる。
こういうことを何度も繰り返していると知識が深まり、また、いろいろな経験を積むことになる。そして、山歩きの技術が向上する。そうすれば、しだいに、より高い山へ、より困難な山へ行ってみたいと思うようになる。
いつも人に頼る人は、いつまでたっても技術が向上しない。人に連れて行ってもらうグループ山行や集団山行に何度参加しても、山歩きの技術は習得できない。それは、車でどこかへ行くときに、いつも人に運転してもらうのと同じである。
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