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開発&コンサルティング

4-3 経営理念の見直し

経営学の教科書には、経営理念を決める際には会社のミッション(使命)や経営者(社長や役員)のビジョン(理想像、未来像)を明確にすべきことが書かれています。しかし、実際にはミッションやビジョンを明確にしている企業はあまりありません。

創業当時のミッションや創業者のビジョンは明確であっても、多くの企業では現在の会社のミッションや現在の経営者のビジョンが明確ではないのです。

創業当時と現在では経営環境が全く異なるにもかかわらず、あるいは創業者と現在の経営者とは考え方や価値観が異なるにもかかわらず、現在の会社のミッションや現在の経営者のビジョンが明確ではないのです。

現在の経営者が、創業者が決めた経営理念をそのまま踏襲するのであれば、創業時のままでも良いのですが、実際には、「創業者が決めたことを変えるのは恐れ多い」ので現在の経営者は明確にしていない場合が多いのです。

そこで、いきなり、経営者に会社のミッションや経営者のビジョンを明確にしてくださいと言ってもムリです。簡単には明確にできないからです。なぜなら、どうしても建前になってしまったり、きれいごとになってしまったりするからです。本来、経営理念は建前でもなければ、きれいごとでもありません。また、経営者の主観的な価値観や個人的な信条でもありません。

そこで、会社の存在意義(存在目的、存在理由)を確認することから始めてもらいます。つまり、何のために我が社はこの世に存在しているのかです。

「経営理念の見直し」は経営の骨組みを再構築するための最初のステップですが、この段階でほとんどの企業では議論が紛糾します。「我が社は何のために存在するのか」が良く分からない社長や役員が多いからです。

これは非常に重要なことだということは理解できるので、皆さん一生懸命に考えます。創業当時に創業者は、「何のために創業するのか」を考えたはずですが、現在の社長や役員は、「何のために我が社は存在するのか」を考えたことがないのです。「今までそんなこと考えたことない」と、ほとんどの企業の社長や役員が言います。

「何のために、あるいは、なぜ我が社はこの世に存在するのか」という質問に答えを出すだけで会社のミッション(使命)が明確になります。なぜなら、ミッションは会社の存在意義だからです。存在意義が明確になれば経営理念の見直し、設定が容易にできるのです。

経営理念は、会社の存在意義を基に経営者の経営に対する基本的な考え方を分かりやすく表現したものです。つまり、経営理念の核となっているのが会社の存在意義であり、ミッションなのです。この核に、現在の経営者のビジョン(未来像)や経営に対する基本的な考え方を肉付けすれば経営理念になります。

経営理念は経営者が従業員や取引先などの利害関係者に向けて表明するものです。つまり、利害関係者に対する約束表明事項です。したがって、非常に重要ですから、分かりやすく表現して伝わるようにするのです。

経営理念は会社の使命(ミッション)と経営者の未来像(ビジョン)を利害関係者に知ってもらい、経営に参加してもらうために、あるいは経営に協力してもらうためにあるのです。また、利害関係者の企業に対する求心力や忠誠心を高めるためにあるのです。これらが、経営理念を設定する目的です。

したがって、経営理念は経営者や従業員にとって精神的なよりどころとなり、愛社精神につながるものでなければなりません。また、顧客、取引先、株主、地域住民などからその会社を愛顧してもらえるようなものでなければなりません。したがって、企業経営にとって最も重要なものであり、会社の大黒柱なのです。

ですから、よく考えて、明確で、しかも分かりやすい表現にする必要があります。実際に、経営理念が明確になっていない、あるいは利害関係者に浸透していない企業では、その企業に対する信頼性が低くなり、従業員の離職率が高くなります。したがって、老舗企業や優良企業の経営理念を参考にして見直しして下さい。

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