本来、業務改革は組織改革ではないので、業務改革活動の前提条件として組織はできるだけ変更しないようにします。しかし、業務改革に伴い組織を変更せざるを得ない場合があります。なぜなら、業務改革は、通常、業務発生の源である中期経営計画の確認・見直しから始めますので、企業によっては、中期経営計画が変更になれば組織を変更する必要が生じるからです。
と言うのも、欧米の企業と同じように、経営戦略策定⇒中期経営計画立案⇒経営組織再編成の順序となっている企業があるからです。
既に説明しましたように、集団主義に基づき意思決定を行っている日本の多くの企業では、経営組織再編成⇒経営戦略策定⇒中期経営計画立案という順序になっております。したがって、中期経営計画を変更する必要があったとしても、通常、経営組織を変更する必要はありません。
しかし、中期経営計画を実行するのは経営組織ですので、やはり中期経営計画が変更になれば経営組織の見直しが必要となります。いずれにしても、経営組織を見直しする必要があるのです。しかし、業務改革活動では中期経営計画の変更も最小限にとどめますから、組織変更が必要だとしても部分的なものになります。
ちなみに、業務改革活動ではなく、組織改革活動の場合には、経営戦略と中期経営計画の見直しをきちんと行ったうえで、組織の見直し(再編成)を中心に活動を行います。この場合には、通常、組織構造(形態)の見直し、組織の動態化の見直し、組織(企業)風土の見直しの3つを行います。
また、組織風土の見直しを中心に活動を行う場合には、人事制度や企業慣習の見直しによる人と組織の活性化活動となります。
そこで、業務改革活動としては、まず、組織構造(形態)について見直し、次に組織の動態化について見直し、その後、組織風土に係る人事制度の見直しの3つについて、基本的な部分だけを簡単に行います。
そこで、今回は、基本的な組織構造(形態)の種類と概要、および長所・短所について整理してみたいと思います。これらを踏まえて経営計画を確実に実施できるような組織構造にするわけです。
ちなみに、通常は基本的な組織構造をそのまま用いることはなく、企業の実態に即して基本的な組織構造を変形したり、いくつかの基本的な組織構造を組み合わせた複合的な組織構造にするのが普通です。経営戦略、事業領域、中期経営計画などを基に、また、次回説明する組織の動態化についての説明も参考にしながら組織構造を再編成してください。
機能別組織は1つの事業を中心に行なう企業に適した組織で、1つの事業を企画、開発、設計、マーケティング、技術、製造、営業、経理、総務などのように機能(役割)別に分割した組織です。単に機能別に分割しただけの組織をライン組織、各機能に対して必要に応じて専門的なスタッフ(参謀)を設置したのがライン・スタッフ組織です。
ライン組織は、命令系統は1つにすべきであるという、「命令一元化の原則」に基づく組織です。一方、ライン・スタッフ組織は、「命令一元化の原則」と「専門化の原則」とを併せ持った組織です。専門化の原則とは、専門家は専門職能についてのみ役割を果たせば良いという原則です。
つまり、ライン管理者は指揮・命令・執行機能を果たし、スタッフはライン管理者に専門家の立場で助言、助力する補完・促進機能を果たします。ライン管理者が、同時にその機能についての専門家であったとしても、1人で管理とその機能の両方を十分に果たすことは難しいのでスタッフが必要となるのです。
※2つ以上の事業を行なう企業が1つの機能別組織を採用すると、これらの長所が損なわれます。
2つ以上の事業を行なう企業に適した組織です。経営者から権限を委譲された事業部長が事業部全体の利益責任を果たします。このため、事業部をプロフィットセンターと呼びます。機能別組織が集権的組織であるのに対して、事業部制組織は分権管理組織です。これが事業部制組織の基本的な特徴です。
通常、事業を製品別、顧客別、地域別などに分割します。それで、製品別事業部、顧客別事業部、地域別事業部となります。ちなみに、1つひとつの事業部は機能別組織を採用するのが一般的です。
事業部を「会社内の会社」とみなし、通常の事業部制よりも高い独立性と重い責任を負わせる制度です。通常の事業部制は利益責任しか持たせませんが、カンパニー制は資産、及び資本まで管理させ、全ての責任を持たせます。したがって、投下資本利益率やキャッシュフローを管理することになります。
具体的には、原材料、部品、製品などの在庫だけでなく、設備、資金、人材まで管理し、資本も社内資本金として準備させます。資金が不足すると本社から社内金利をつけて融資されます。このため、カンパニー制はインベストメント(投資)センターと呼ばれます。
事業部制組織の長所をよりいっそう強く持つことになります。事業部以上の権限委譲により、迅速な意思決定やモチベーションの向上、組織の活性化、資源配分の効率化が可能です。
あまりありません。かつて、カンパニー制が普及したのは短所があまりないということだけでなく、連結納税制度が認められていなかったからです。カンパニー制は社内の会計(管理会計)上は独立した組織ですが、法律に基づく会計(財務会計)上は社内の一部であり、損益を社内で合算して税金を計算できるメリットがありました。
しかし、現在は商法の改正(2002年4月より実施)により連結納税制度が基本的に認められたので、カンパニー制は次に説明する持ち株会社制へ移行しています。
事業部を分社化(子会社化)し、その株式を持つことで複数の事業会社を支配するという制度に基づく組織です。自らも事業を行なう事業持ち株会社と、自らは事業を行なわずグループ全体の経営に特化する純粋持ち株会社とがあります。純粋持ち株会社の収入源は各子会社からの配当です。
わが国企業の国際競争力を高めるために1997年に持ち株会社が解禁されました。ちなみに、◯◯ホールディングという社名は持ち株会社であることを示しています。
連結納税制度を採用しても子会社の繰越欠損金の相殺はできない。よって、損益合算のメリットはそれほど大きくない。このことがなくならないと、分社・独立のメリットは少ない。
ちなみに、なぜ、このような中途半端な連結納税制度になっているのかと言いますと、財閥が新たに生まれるのを防止しているからです。かつて、日本の財閥が大きくなり、資本が一部の企業に集中して、いろいろな問題が生じたのです。戦後、マッカーサーによって財閥解体がなされ、いろいろな問題が解消された経緯があります。
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