通常、企業組織というのは基本的には機能別組織になっています。つまり、開発、設計、技術、マーケティング、購買、生産、販売、財務、経理、人事、総務などのように機能(役割)別に分割されています。事業部制組織でも、それぞれの事業部は機能別組織になっています。
そのほかの組織形態でも基本となるのは機能別組織です。なぜなら、会社の経営目的を頂点として、この目的を果たすための機能(役割)を分割したものが、開発、設計、技術、マーケティング、・・・・・・といった各部門を形成しているからです。
さらに、各部門の目的を果たすために下位の機能(役割)があるわけです。通常、この下位機能が課になり、さらにその下位機能が係になっています。課や係の名称が、◯◯グループとか◯◯チームになっている場合もありますが、名称が異なっていても機能(役割)は同じです。
また、業務分掌(業務分類)は本来、会社の目的と機能(役割)の体系と同じにできています。つまり、経営計画を実施するための業務を目的と機能の関係でツリー状に整理すれば、そのまま組織になります。要するに、業務を分類体系化したもの、すなわち業務分掌が組織と同じになっているのです。なぜなら、組織は経営計画を実施するためにあるからです。
したがって、組織体系(組織図)と業務体系(業務分掌)は同じ目的と機能の関係でできています。別の言い方をすると、組織図と業務分掌は同じ機能体系図になります。また、基本的には、部、課(グループ)、係(チーム)がそれぞれ大分類業務、中分類業務、小分類業務の機能を果たし、さらに、従業員1人ひとりが個別業務(職務)の機能を果たしているのです。
ただし、この関係は原則であって、実際には必ずそうなっているわけではありません。企業によって規模や階層が異なるからです。
例えば、大企業の場合、業務を大々分類(00)、大分類(0)、中分類(1)、小分類(2)、小小分類(3)などとしている企業もあります。なお、分類番号や分類記号で業務レベルを設定してある企業が多いです。しかし、いずれにしても組織と業務は目的と機能の関係になっているわけです。
通常、経営学の教科書に書かれている組織編成のプロセスは、(1)経営計画達成のための職能と各職能における職務の分割、(2)各職務の詳細な内容の明確化、(3)職務の位置づけである職位の部門化と職務の体系化、(4)職位部門の階層化、などと説明されています。
この説明では、最初に経営計画達成のための職能(職務遂行能力)を明確にし、1人ひとりの職務に分割します。次に1人ひとりの職務の内容を明確にします。そして、職位の部門化と職務の体系化をして、職位部門の階層化をします。つまり、いわゆる積み上げ方式で組織を編成していきます。
しかし、この方法では組織編制はできないでしょう。なぜなら、この説明では経営計画達成のための職能、職務、職位の関係が明確になっていないからです。
例えば、上記(1)にように、「経営計画達成のための職能と各職能における職務の分割」では、職能を基に分割(組織編成)するのか、職務を基に分割(組織編成)するのか分からないからです。しかも、どちらを先に行うのかも分かりません。
多くの企業では経営計画達成のための職能を持った人を先に決めてしまう傾向があります。よって、職務が明確でないまま人を決めるため、経営計画が実施できなかったり、経営計画とは関係のない業務を行ったりしてしまうのです。
そこで、経営計画達成のために必要な業務計画を立案した後に、業務を各部門に割り当てる、いわゆる割り当て方式を採用します。
経営計画達成のための業務を各部門に割り当てるに当って、(1)実施部門が明確な業務、(2)どの部門で実施すべきか分からない業務、(3)実施する部門がない業務、(4)各部門共通に実施する業務などに分けます。
(1)実施部門が明確な業務はそれぞれの部門に割り当てます。この時に重要なことは、割り当てられた部門がその業務を実施できるように役割分担がなされているかということです。もし、そうなっていない場合には、仮に、その部門の機能(役割)として設定しておきます。
例えば、ある部門(◯◯部)に割り当てられた新規業務が、その部門の機能としてこれまでなかったとすれば、その機能を果たすために、◯◯部の中に新たに◯◯課や◯◯係(チーム)が必要になります。
(2)どの部門(部、課、係など)で実施すべきか分からない業務、については部課長会議で検討して決めます。
(3)実施する部門がない業務の場合、部課長会議で仮に部門を設置しておきます。例えば、新規事業の場合には、仮の◯◯事業部を設置しておき、後で役員会で正式決定します。
(4)各部門共通に実施する業務の場合にも、実施する部門がなければ仮の部門を設置しておき、後で正式に決定します。例えば、情報セキュリティー推進部などです。
ところで、今後も継続して実施する業務を除いて、経営計画にない業務を実施する部門があったり、それを実施する担当者がいたりしてもそれらは当然、不要です。したがって、その部門を廃止し、担当者は異動します。
と言うのも、実際にはそういう部門を廃止しない企業が良くあるからです。つまり、過去に部門を設置し、人を配置しておいたのを、そのままにしている企業が多いのです。
その理由は、上司がその人を他の部門に異動させたくなかったり、本人がこれまで実施していた業務を継続実施したいからです。このため、ムダな業務を行ってしまうのです。実際に、業務効率化活動を行ってみると、ムダな業務だけでなく、ムダな課や係が発見され廃止することがよくあります。部を廃止することもあります。
さて、しつこいようですが、本来、経営計画を実施するために必要な業務と部門を決めてから、その業務を実施する人を決めるのです。しかし、日本の企業では昔からその逆になっており、部門と人を先に決めてから業務を割り当てるのです。そのため、必要のない業務だけでなく、必要のない部門があったり、必要のない人がいたりするのです。これがそもそもの間違いなのです。
「仕事が増えないのに人は増える。なぜなら人は部下を欲しがるから。人が増えればムダな仕事を作り出す」というパーキンソンの法則が良く当てはまるのが日本の会社なのです。
また、業務を目的と機能の関係で立案したとしても、組織の方は必ずしもそうなっていない場合がよくあります。なぜなら、これまで何度も説明しましたように、日本の組織は機能を中心に作られているのではなく、人を中心に作られているからです。
そこで、重要なのは、経営計画を実施するための業務計画の立案を先に行い、次に業務を実施する組織(部門)を決め、最後に人を決めることです。つまり、業務⇒組織(部門)⇒人の順番で決めるのです。そうすれば、確実に経営計画が実施できますし、また、そうしなければ確実に経営計画を実施することはできません。
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