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開発&コンサルティング

4-10 中期経営計画の見直しと経営計画の立案

1.中期経営計画の見直し方法

経営計画には主に中期経営計画(2年~3年)と短期経営計画(半年、又は1年)の2つがありますが、通常、短期経営計画のことを単に経営計画と呼びます。この他に、高度経済成長時代には長期経営計画(5年~10年)がありましたが、環境の変化が激しい現在では長期経営計画はほとんど立案されません。

経営計画は毎年立案しますが、通常、中期経営計画も毎年立案します。つまり、2~3年の計画を毎年立案するのです。これをローリングプランと言います。なぜなら、環境が常に変化するからです。環境の変化に合わせて、毎年、経営戦略を策定しますが、それに合わせて中期経営計画も毎年立案するのです。なぜなら、中期経営計画は経営戦略の実行計画だからです。

中期経営計画の立案方法には、ローリングプランの他にコンティンジェンシープランというのがあります。コンティンジェンシーとは不測の事態という意味ですが、いろいろな環境の変化を予想して中期経営計画を複数立案しておき、状況に応じて計画を切り替えるという方法です。

さて、欧米では、通常、中期経営計画を立案するのは戦略ドメインの再設定を行った後です。また、中期経営計画を立案した後には経営組織の再編成を行います。したがって、次の順になります。

経営戦略の策定⇒戦略ドメインの再設定⇒中期経営計画の立案⇒経営組織の再編成⇒経営計画の立案

また、既に説明しましたように、従来の日本では次の順でした。
経営組織の再編成⇒経営戦略の策定⇒中期経営計画の立案⇒経営計画の立案

なぜなら、日本では経営者が中心となって経営戦略を策定するのではなく、経営組織を通じてミドルアップによって経営戦略を策定するからです。また、高度経済成長時代には戦略ドメインが変更されることがあまりなかったからです。しかし、現在では環境の変化が激しいため戦略ドメインを変更することが多くなっています。したがって、現在では次の順になります。

経営組織の再編成⇒経営戦略の策定⇒戦略ドメインの再設定⇒中期経営計画の立案⇒経営計画の立案

さて、欧米でも日本でも中期経営計画は経営戦略を基に立案します。中期経営計画は経営戦略の実行計画だからです。また、この実行計画を実行するのは、もちろん経営組織です。

したがって、日本の多くの企業では、経営戦略を策定するのも、また経営戦略を実行するのも経営組織なのです。つまり、みんなで決めてみんなで実行しているのです。これは、集団主義に基づくものです。よって、もし、経営組織や経営戦略が明確になっていないとすると、中期経営計画の立案も見直しも難しくなります。

多くの日本の企業では、経営組織は人を中心に作られており、機能(役割)を中心に作られていないので明確ではありません。また、その明確でない経営組織を通じて経営戦略を策定するので、経営戦略も明確ではないのです。

例えば、組織形態が機能別組織になっていたといても、実際の仕事の役割分担は人を中心に作られているのです。例えば、◯◯代理、副◯◯など、本来は補佐役である人が重要な意思決定をしたり、指示命令をしたりしているのです。あるいは、自部門のリーダーよりも他部門の年配者の方が発言権が強く、他部門の年配者の指示命令に従うこともあるのです。

このような形で重要な意思決定が行われているので、組織を通じて経営戦略を策定しても、その根拠があいまいです。そもそも、◯◯代理や副◯◯は補佐役なので、その権限と責任が明確ではありません。よって、発言したことに対しては無責任になってしまうのです。

そこで、中期経営計画の立案、又は見直しを行う場合、戦略ドメインの確認をしておく必要があります。なぜなら、経営戦略や経営組織は経営環境の変化により変更されますが、戦略ドメインはあまり変更されないので、戦略ドメインの確認を行ってから中期経営計画を立案、又は見直しをすれば間違いが少ないからです。

ただし、最近の経営環境の急激な変化や競争激化により、経営戦略によって戦略ドメインが変更されることが多くなりました。既に説明しましたが、経営戦略による「事業の選択と集中」や新規事業開発は、戦略ドメインが変更されることを意味します。

そこで、中期経営計画の見直しは次のように行います。

  1. 戦略ドメインの確認を行います。
  2. 経営戦略と戦略ドメインの整合性が図られているかどうかの確認を行います。多くの企業では、経営戦略と戦略ドメインの整合性が図られていないことが多いからです。
  3. 中期経営計画が経営戦略の実行計画になっているかを確認します。
  4. 経営組織が中期経営計画を実行できるようになっているかを確認します。

つまり、経営戦略⇔戦略ドメイン⇔中期経営計画⇔経営組織のそれぞれの内容が合致していれば良いわけです。表現の仕方はそれぞれ異なっていても、内容が一致していれば良いのです。中期経営計画は、経営戦略の実行計画ですから経営戦略の内容がすべて中期経営計画に盛り込まれていなければなりません。よって、これらをしっかりと確認します。

2.経営計画の立案方法

中期経営計画は2~3年の計画ですので、経営計画を立案するには、中期経営計画をブレイクダウンします。つまり、ツリー状に展開します。次に、最初の半期~1年に実施すべきことを決めて経営計画を立案します。ツリー状に展開しながら経営計画を立案していけば良いのです。

ブレイクダウンする方法ですが、必ず、目的ー機能の関係でブレイクダウンします。重要度が高いか低いか、実施が困難か容易か、などではありません。

多くの企業では重要度が高く、実施が容易な事項を優先して実施する傾向があります。しかし、これでは、中期経営計画が計画通りに実施できません。たとえ重要度が低く、また実施が困難であっても、計画通りに実施しなければ中期経営計画は達成できないのです。

上位の目的を果たすために、下位にどのような機能(役割)が必要か、不足はないか、過剰はないかなどを確認しながらブレイクダウンしていけば良いわけです。

このようにして、経営計画の立案を行ないますが、多くの企業では目的―機能の関係になっていないために中期経営計画が達成できないのです。その結果、経営戦略が実行できなかったり、経営戦略とは異なるムダなことを行ったりするのです。

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