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開発&コンサルティング

3-11 アウトソーシングについて

アウトソーシングはムダな業務を廃止・削減するわけではありませんが、業務効率化の1つの方法です。自社で実施するより、他社で実施してもらった方が良い場合にアウトソーシングします。

アウトソーシングは日本では、「業務の外部委託」の意味で使われますが、欧米ではメーカーの加工・組立作業の外注もアウトソーシングです。要するに、企業外部に仕事を委託することです。

日本では昔は、企業秘密を守るため経営管理部門の業務を外部に委託することはあまりなかったのですが、近年、グローバル化の進展により、競争が激化したため、信頼できる業者に業務を外部委託するようになったのです。そこで、加工・組立作業の外注と区別するために、業務の外部委託をアウトソーシングと呼ぶようになったのですが、単に、外注を英語にしただけです。

1.アウトソーシングの目的と考え方

  1. 社員の個人情報の保護
  2. 例えば、給与は他の社員に知られるとまずいので、給与計算業務を会計事務所などに委託します。また、社員の健康診断や健康管理に関わる業務を会社の業務とは切り離して専門の業者に委託します。その方が専門知識を活用できます。従業員が多い大企業の場合は、会社が健康組合を作り、この業務を健康組合に委託するのが一般的です。

  3. 自社にない技術やノウハウの活用
  4. 中小企業が税務申告を税理士事務所に委託する。システム構築をITベンダーに委託する。特許出願を弁理士事務所に委託する。各種法的手続きを弁護士事務所に委託する。などがあります。

  5. 業務コストの削減
  6. 比較的容易に出来て、しかも企業秘密に関わらない業務を自社で実施するより、他社に委託した方がコスト削減になる場合です。人件費の安い地方や海外の企業、あるいは中小企業などに委託します。各種入力作業などのいわゆる単純作業が多いです。

  7. 業務の高価値、高品質、高スピードの確保
  8. 自社で実施するより、他社に委託した方が、より高価値、高品質、高スピードで業務ができる場合です。この目的で委託する業務の種類はたくさんあります。経営管理部門のほとんどの業務が対象です。業務効率化活動で最も多いのがこの目的でアウトソーシングする場合です。

    例えば、マーケティング部門における市場調査、技術部門における特許出願、人事部門における従業員教育、総務部門における各種法的手続きなどです。

    経営能力が不足していう場合に、外部の専門経営者に委託する場合もあります。この場合には、通常、経営顧問とか、社外取締役といった形で業務を委託します。

    ちなみに、経営コンサルタントの場合には、業務委託ではなく業務委任になります。コンサルタントが業務を実施するわけではないからです。アドバイスをしてもらったり、提案をしてもらったりするからです。しかも、特定の課題解決のために、一時的に委任するのです。

  9. 景気変動に対する緩衝(バッファー)
  10. 景気変動に対応するため人件費などの固定費をできるだけ少なくして、変動費化します。つまり、景気が良く仕事が多い時には仕事を外部委託し、景気が悪く仕事が少ない時には社内で実施します。このために、正社員を少なくして、非正規社員のアルバイトや期間労働者を多く雇うのです。

  11. 定年退職者の技術や労働力の活用
  12. 子会社を作って定年退職者を雇用し、子会社に仕事を委託してこれまでと同じ仕事を引き続き行ってもらうのです。

  13. 事業の選択と集中による優位性の確保
  14. 事業単位や業務機能単位で他社に委託し、自社の経営資源を優位性のある事業や業務機能に集中させます。

    例えば、商品の販売を外部委託し、企画・開発・設計・製造を自社で行います。又は、自社で商品の企画・開発を行い、その商品の設計・製造を外部委託し、同時にその商品を自社ブランドで販売してもらいます(OEM供給)。あるいは、設計・製造を外部委託し、企画・開発と販売を自社で行います(ファブレス企業)。

などがあります。

2.アウトソーシングを行うに当たっての留意事項

  1. 自社の技術やノウハウが外部に流失しないようにします。このためには、自社のコア・コンピタンス(核となる能力)や競争優位性を見極め、自社の企業秘密とすべき事項を明確にしておきます。

    例えば、あるファブレス企業の事例ですが、重要部品の設計をアウトソーシングしていたところ、いつの間にか委託先の技術が向上し、製品価格の決定権を奪われてしまいました。

  2. 日本では技術は人に帰属し、会社に帰属しないことが多いため、業務を外部委託するためには業務を標準化・マニュアル化しておかなくてはなりません。このために技術ノウハウを文書化するナレッジ・マネジメントを推進します。

  3. 自社で標準化・マニュアル化できない難しい仕事は、標準化・マニュアル化も含めて機能単位で外部委託します。このようにすることで、外部委託した仕事の品質低下やトラブルを防止することができます。

  4. 委託先企業とは互いに切磋琢磨して共に発展するようにします。自社のパートナーであり、対等な協力関係にあることを肝に銘じ、決して下請けという意識を持たないようにします。

  5. 委託先企業に対して経営管理面での支援やコスト削減等の改善支援を行います。同時に委託先企業が委託した業務の改善・開発などを自助努力で行った場合、その成果を折半するようにします。

3.委託先企業(アウトソーサー)の選定方法

では 、どのようにして委託先(アウトソーサー)を選定すれば良いでしょうか。それは通常の取引先を選定するのと同様に行えば良いのです。つまり、大まかに言えば、

  1. 取引する業務の品質・納期・コスト・セキュリティに問題がない企業。SLA(サービス・レベル・アグリーメント:取引内容の契約書)を作成している企業。

  2. 経営状態に問題がない企業。財務状態、生産・販売状態が良い企業。人・物・金・技術などの経営資源が充分にある企業。

  3. 経営者(経営チーム)に問題がない企業。経営のチェック&バランスが図れている企業。社長にNOと言える人がいる企業。

  4. 将来的に問題がない企業。従業員の教育・訓練、改善・改革・開発活動などを継続的に行っている企業。

  5. 長くおつきあいできる企業。共に協力関係を構築できる企業。
  6. などです。

以上の点は、実際には難しいと思いますが、できるだけ以上の点を踏まえて、アウトソーシングを行います。また、アウトソーシング方針や内外作基準を設定しておきます。アウトソーシングは、元来、経営戦略にかかわることなので、経営方針として設定してしておく必要があります。そうしておけば、アウトソーシングをどの部門で誰が行っても経営方針に沿って行うので間違いなくできます。

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