目次
1.製品のコスト削減研修の勧め
2.目的
3.アウトプット
4.コスト削減の基本的考え方
5.推進体制と役割
6.研修の進め方
7.研修プログラム概要
8.費用
1.製品のコスト削減研修の勧め
株式会社◯◯製作所様におかれましては、大手メーカーの生産設備である専用機、省力化合理化機械、自動化装置、検査・組み付け・溶接等における冶工具類、各種金型などを独自の技術により設計製造されております。しかしながら、顧客からの度重なる低価格要請、顧客ニーズの多様化などにより、売上高及び利益率が低迷している状況となっております。
また、人員構成はベテラン社員と若手社員との2極化が進み、その能力格差や価値観の相違、あるいは仕事に対する取り組み意識の相違などによって、社員の一体的な業務遂行が困難となっております。
以上の問題点を克服するためには、社員全員の参加による製品のコスト削減研修が最も適していると思われます。その理由としては、
- 対象が製品という目に見えるものであることから、研修の効果が良くわかり取り組みやすい。
- 製品は何らかの形で全部門がかかわっているため、全部門がそれぞれの立場で研修に参加し、それぞれの役割を果たすことによって、全部門の協力体制の下で一つの目的に向かって作業を遂行することができる。
- 社員全員が参加することにより、ベテラン社員と若手社員との交流を図り、それぞれの持つ長所や短所を発見し、互いに学びあうことによって協力しようとする意識が生まれ、社員の一体的な業務遂行が可能となる。
- 研修により社員各自の潜在的な能力を引き出すとともに、新しい考え方に基づく技術を習得し、社員各自の能力および労働意欲を高めることができる。
- 研修によって習得した技術を基に、受注段階での正しい原価見積もりを可能とし、受注の可否を正確に判断することができる。
- 研修によって習得した技術を基に、今後の受注活動において顧客に対する提案営業が可能となり、売り上げの向上、利益率の向上を図ることが期待できる。
- 研修によって習得した技術を基に、独自のマーケティングや製品企画、新製品の開発を行なうことが可能となる。
などが考えられます。
2.目的
製品のコスト削減技術を習得する。
3.アウトプット
対象とする製品のコストを削減し、コスト削減した製品の図面、試作品、市場テスト結果などをアウトプットすることにより、コスト削減技術を習得したことを確認する。
4.コスト削減の基本的考え方
- 顧客は自己の目的のために専用機などを購入する。しかし、顧客は専用機などが備えている機能(役割)を購入するのであって、専用機などの物を購入するわけではない。すなわち、顧客は専用機という物が欲しいわけではなく、欲しいのは「専用機によって加工された製品」であり、そのために「加工する」という機能を購入するのである。したがって、専用機を物と見ないで目的・機能の体系と見る。このように考えることによって、現在の専用機に含まれる無用機能、過剰機能、重複機能などを発見することができる。よって、これらの機能を除去することによってコスト削減が可能となる。
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一般に、ある目的・機能を果たす方法・手段は一つとは限らない。よって、現在の専用機は顧客の求める目的・機能を果たす一つの方法・手段に過ぎない、と考えることができる。したがって、他のもっと良い方法がこの世に存在する可能性が想定される。よって、他のもっと良い方法を世の中のあらゆる分野から探索するとともに、新たな方法を創意工夫することにより、さらにコスト削減が可能となる。
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アイデアは何もないところからは生まれない。専門的知識のない者がブレーンストーミング法やKJ法などのアイデア発想法を学んでも斬新なアイデアが生まれることは絶対にない。アイデアの源泉は知識である。知識がなければアイデアは出ない。社内の専門家が有する専門知識は世の中にあるあらゆる分野の専門知識の中のほんの一部でしかない。よって、斬新なアイデアを生み出すためには、世の中にあるあらゆる分野の専門知識を探索し、それらの知識を活用することが必要である。
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製品のコスト削減と新製品開発とは紙一重である。コスト削減とは、顧客から見た無用機能、重複機能、過剰機能などを除去するとともに、必要機能を果たすためのより良い方法、より安い方法を世の中にあるあらゆる分野で探索し、また、創意工夫してコストを引き下げることである。その結果として既存製品のコスト削減だけでなく、新製品を生むことにもなる。一方、新製品開発とは、従来にない新たな機能を備えた製品、及び従来の製品の必要機能を果たすために、新たな方法を用いた製品を生み出すことをいう。その結果として、新製品だけでなく、従来の製品をコスト削減した製品が生まれることにもなる。したがって、製品のコスト削減と新製品開発とは紙一重である。
- 一般に、目的(顧客の使用目的、用途、ニーズ)の追求を行うと、新たな機能の発見に結びつくので新製品開発になり、機能の追及を行うと、機能を果たす新たな方法・手段の発見に結びつくので新製品開発にも既存製品のコスト削減にもなりうるのである。
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機能的見方を学ぶことにより、製品だけでなく、生産設備、作業・業務、人、組織、資金、情報、などあらゆる対象を機能的に見ることができるようになる。このため、あらゆる対象の改善・改革が可能となる。コスト削減は機能的見方による改善・改革の一つの分野に過ぎない。
5.推進体制と役割
- 推進委員会の構成と主な役割:
- 役員で構成し、推進委員長の下で活動全体の推進上の問題解決に当たる。
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プロジェクト・チームの構成と主な役割:
- 各部門の専門技術者で構成し、チームリーダーの下で研修プログラムに沿って具体的な作業を行なう。
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実行委員会の構成と役割:
- 各部門の部門長で構成し、実行委員長の下でプロジェクト・チームが創出したアイデアや構想案について実行可能性の検討・評価を行い、実行可否の決定をする。また、各種課題の克服に努める。
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各部門の役割:
- 実行委員会の決定に従い、図面作成、試作検討、工程設計、市場テスト、各種調査等を実行する。
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事務局の構成と役割:
- 総務部長を事務局長とし、事務員2名で構成し、活動全体の事務処理を行なう。また、事務局長は推進委員会及び実行委員会に対して推進上の課題を提案する。
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コンサルタントの役割:
- 研修プログラムに沿ってプロジェクト・チームに対して提案・序言及び具体的指導を行なうとともに、各推進組織に対して提案と助言を行なう。
6.研修の進め方
- プロジェクト・チームの研修は、週1回、1回6時間とし、12回で終了する。
- 毎回、講義1時間半、演習1時間半および実習3時間を行う。
- 第1回は講義の前に発会式を行い、最終回(第12回)には実習の後に報告会を行う。
- 活動の中間でチームと推進組織との合同検討会を2回行う。
- 各回の間に自主会合による実践作業を行う。
- 実行委員会および推進委員会は必要に応じて随時開催する。
7.研修プログラム概要
ステップ | 研修概要 | アウトプット |
第1回(発会式) 前提条件の確認 |
・研修の考え方・進め方の理解
・意識の統一
・対象製品の選定
・対象製品に関する情報収集
・制約条件等の設定
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・プロジェクト企画書
・前提条件一覧表
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第2回 部品構成別コストの把握 |
・部品構成別コスト算定方法の習得 |
・部品構成別コスト集計表 |
第3回 機能分析 |
・機能的見方の習得 |
・機能体系図 |
第4回 機能別コストの把握 |
・機能別コスト算定方法の習得 |
・機能別コスト一覧表 |
第5回 機能別方法調査 |
・機能別方法調査方法の習得 |
・機能別方法一覧表 |
第6回 目標コストの算定 |
・機能別目標コスト算定方法の習得 |
・機能別目標コスト一覧表 |
第7回 アイデア発想 |
・アイデア発想方法の習得 |
・アイデア一覧表 |
第8回(第1回検討会) アイデア評価 |
・アイデア評価方法の習得 ・アイデアの課題克服方法の習得 |
・アイデア評価一覧表 ・アイデアの課題克服案 |
第9回 機能別構想案の作成 |
・機能別構想案作成方法の習得 |
・機能別構想案 |
第10回(第2回検討会) 構想案の評価 |
・構想案評価方法の習得 ・試作実施検討 ・市場テスト実施検討 |
・構想案評価一覧表 ・試作品 ・市場テスト結果 |
第11回 全体構想案の作成 |
・構想案の課題克服 ・概略全体構想図作成 |
・構想案課題克服一覧表 ・全体構想図面 |
第12回(最終報告会) コスト削減成果の確認 |
・コスト削減成果のまとめ ・コスト削減製品の生産販売計画の立案 |
・研修成果報告書 ・コスト削減製品の生産販売計画書 |
8.費用
1)神奈川県中小企業支援センターの規定に基づくコンサルタント料
2)試作、市場テスト等に関する費用
3)文房具等の事務消耗品費など
以上
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